外資に関する奨励

最終更新日:2022年11月30日

奨励業種

ケニア政府は、農業生産、製造業、インフラおよび公益事業(水道整備、衛生、電力、通信網等を含む)、住宅部門、情報通信技術、その他の知識集約型産業、天然資源・石油・鉱物の探査事業などの分野への投資を奨励している。

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各種優遇措置

輸出加工区(EPZ)および経済特区(SEZ)に進出した企業には、税制優遇措置がある。一部の奨励業種(排出権取引業、ワクチン製造業など)に対する税制優遇措置もある。また、進出地域に関わらず、得られる優遇措置もある。

輸出加工区(EPZ)および経済特区(SEZ)における優遇措置

輸出加工区(Export Processing Zone:EPZ)および経済特区(Special Economic Zone:SEZ)はケニアの関税区域外とみなされ、進出企業には次の優遇措置が与えられる。なお、輸出加工区(EPZ)企業には、生産品の80%以上を東アフリカ共同体(EAC)域外に輸出することが要件として求められる(つまり、輸出加工区(EPZ)企業でも、20%未満をケニア国内で販売することができる)。

輸出加工区(EPZ)および経済特区(SEZ)における優遇措置
項目 標準税率 EPZの優遇税率 SEZの優遇税率
法人所得税 30% 設立後、
  1. 最初の10年:免除
  2. 次の10年:25%
  3. その後:30%
設立後、
  1. 最初の10年:10%
  2. 次の10年:15%
  3. その後:30%
輸入関税 原材料:0%
中間財:10%
最終財:25%
免除(ただし、自動車などEPZ外でも利用するものは課税対象) 免除(ただし、自動車など、SEZ外でも利用するものは課税対象)
付加価値税(VAT) 16% 0% 0%
物品税(Excise Duty) 商品により異なる。 免除 免除
輸入申告料(IDF) 3.5% 免除 免除
印紙税 商品により異なる。 免除 免除
輸出税 商品により異なる。 免除 免除
源泉徴収税(非居住者への支払いの場合)
  1. 配当金:15%
  2. 人的役務:20%
  3. ロイヤルティー:20%
  4. 利子:15%
最初の10年は免除。 その後は次の税率。
  1. 配当金:15%
  2. 人的役務:20%
  3. ロイヤルティー:20%
  4. 利子:15%
  1. 配当金:0%
  2. 人的役務:5%
  3. ロイヤルティー:5%
  4. 利子:5%
投資控除 1年目に50%、その後は1年ごとに25%均等割 初期投資(建物や機械など)の100%の投資控除が認められる。 初期投資(建物や機械など)の100%の投資控除が認められる。

注意:
なお、ジェトロ・ナイロビ事務所が実施したヒアリング調査において、経済特区(SEZ)に与えられた前述の優遇措置については、必ずしもすべてが履行されているわけではないことが明らかになっている。SEZ企業への優遇措置付与に係る審査規程を作成中であり、これらが整い次第、インセンティブが与えられる見通し(2022年11月現在)。

ケニア法規サイト:EPZ法(EXPORT PROCESSING ZONES, Cap517, 1990外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
輸出加工区庁:優遇措置の詳細(EPZ Program外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ケニア法規サイト:経済特別区(SEZ)法(Special Economic Zones Act No.16,2015)(2015年12月15日発効)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

経済特区(SEZ)に関し、認可されているのは次の16カ所。ただし、2022年11月時点で稼働している経済特区は、a~dの4カ所のみである。他の経済特区は政府もしくは民間企業が造成中。なお、fのドンゴクンドゥ経済特区(モンバサ)は、日本のODAを活用して造成予定。

認可された経済特区(SEZ)
名称 場所 備考
a.タトゥシティ キアンブ県 稼働している。民間(南ア企業出資)が運営。
b.アフリカ・エコノミックゾーン ウアシン・ギシュ県 稼働している。民間(中国企業出資)が運営。
c.コンパクト・フリートレードゾーン ナイロビ県 稼働している。民間(ケニア企業)が運営。
d.ノースランズ経済特区 キアンブ県 稼働している。民間(ケニア企業)が運営。
e.コンザ・テクノポリス マチャコス県 造成中。公設の経済特区。
f.ドンゴクンドゥ経済特区 モンバサ県 造成中。公設の経済特区。
g.ナイバシャ経済特区 ナクル県 造成中。公設の経済特区。
h.SBM経済特区 クワレ県 造成中。民間が開発。
i.スリーピング・ウォリア経済特区 ナクル県 造成中。民間が開発。
j.ファースト・ロジスティック マチャコス県 造成中。民間が開発。
k.ラム観光レジャー経済特区 ラム県 造成中。民間が開発。
l.フォーカス・リミテッド経済特区 ラム県 造成中。民間が開発。
m.キピピリ経済特区 ニャンダルア県 造成中。民間が開発。
n.キペブLPG経済特区 モンバサ県 造成中。民間が開発。
o.キペブ・フリートレードゾーン経済特区 モンバサ県 造成中。民間が開発。
p.フォーカス・フリートレードゾーン経済特区 モンバサ県 造成中。民間が開発。

輸出加工区(EPZ)に関し、認可されているのは次の74カ所。海岸沿いのモンバサやキリフィにEPZが多い。
輸出加工区(EPZ)の各カウンティの設置数は、次のPDFを参照。
ジェトロ:輸出加工区(EPZ)の設置数PDFファイル(539KB)

奨励業種に対する優遇措置

  1. ナイロビ国際金融センター(NIFC)法に基づく優遇措置
    2030年までに20億ドル以上の投資を呼び込み、アフリカの金融機関のハブ(中心地)になることを目指している。政策の柱の一つがカーボンオフセット取引所の設立。具体的には以下の優遇措置がある。
    1. 炭素市場取引・排出権取引の運営事業者には、事業開始年から最初の10年間は15%の法人税率が適用される。
    2. NIFC法に基づいて設立された企業は利益の本国送還が自由となる。外資100%の出資も認められる。
  2. ヒト用ワクチン製造業者に対する優遇措置
    ケニアでのワクチン製造を奨励するため、人間用ワクチンの製造業者の次の所得は非課税となる。
    1. ヒト用ワクチン製造業者の所得
    2. ワクチン製造業者が非居住者(海外)に対して支払う配当金(源泉徴収税は課されない)
    3. ヒト用ワクチン製造業者に対する無利子貸付金に関するみなし利息
  3. スペシャル・オペレーティング・フレームワークによる優遇措置
    投資額が100億ケニア・シリング以上で、ケニア政府が適格と認める事業は、スペシャル・オペレーティング・フレームワークに基づき、特別な減免税率が適用される。

その他の税制に係る優遇措置

次の優遇措置は、ケニア国内のどの地域でも適用可能となるもので、ケニア歳入庁(KRA)が所管している。

    1. 資本財に対する付加価値税(VAT)を免除。
    2. 再輸出および免税品としての国内販売を目的に、材料を輸入し商品製造を行う場合、材料の輸入課税を免除。
    3. 500万ドルを超える民間投資の場合、政府からの承認を得ることにより、資本財輸入にかかる輸入税控除額を所得税と相殺できる。
    4. 農業分野における機械等の設備に対する付加価値税(VAT)と関税を免除。

詳しくはケニア「税制」参照。

その他

毎年、予算教書の発表時(6月中旬)に新年度(7月~翌年6月)の税制改正案が発表される。