為替管理制度

最終更新日:2023年10月30日

管轄官庁/中央銀行

エジプト中央銀行

エジプト中央銀行(Central Bank of Egypt外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

所在地:54 El Gomhoreya Street, 11511, Cairo
Tel:16777(エジプト国内)
問い合わせフォーム:Send Message外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

為替相場管理

自由変動相場制。

2003年1月以降、エジプトでは変動相場制が採用されてきたが、2012年12月に中央銀行が事実上の固定相場制度への復帰となる外貨割当制度を導入した。2016年11月3日、中央銀行は自由変動相場制への移行(外貨割当制度の廃止)を発表した。2022年10月27日には、市場の需給を踏まえたより柔軟な自由変動相場制への移行を発表した。

中央銀行 "Press ReleasePDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(120KB)"

財務省は自由変動相場移行後に規定された特定輸入品への割引為替レートを2019年9月1日に撤廃し、中央銀行が毎日公表する為替市況レートの適用を定めた。

貿易取引

決済通貨などの規制は特段ない。
外貨不足に陥っていた2015~2016年、また2022年2月以降、中銀による輸入決済関連の通達が相次いで出された。外貨不足の際の決済時は引き続き注意を要する。

  1. 決済手段
    貿易取引における決済手段としては、前払い、プレファイナンス、後払い、D/P(Documents against Payment)、D/A(Documents against Acceptance)、信用状(Letter of Credit、L/C)等の方法がある。
    2022年2月の中央銀行の通達により、輸入決済に関し、L/Cの利用が中央銀行より義務付けられたが、2022年12月にL/C利用義務は撤廃された。
  2. 決済通貨
    規制はないが、外貨取引については、認可された銀行・機関でのみ可能。

貿易外取引

外国との取引、観光事業関連の取引、フリーゾーン・経済特区での取引、証券・その他金融商品の取引など、一部の取引には外国通貨を使用できる。
入出国時の外貨の持ち込み・持ち出しは、1万ドル(相当額)まで申告は不要。

エジプト国内での商品およびサービスの売買取引は、国際的な協定または他の法令によって規定される場合を除き、エジプト・ポンドで行われなければならない。

ただし、次の取引や支払いでは外国通貨を使用できる。

  1. 外国の当事者との間に締結された請負契約、供給契約、サービス契約に基づく取引(ただし、許可された銀行を通して行うものとする)。
  2. 1.の契約履行のために外国から調達される構成材について、エジプトの当事者との間に締結した契約に基づく取引。
  3. 保険料の支払い、または保険金の給付が外国通貨で行われる旨を規定した保険契約に基づく支払い。
  4. 観光事業関連の事業体(商店含む)もしくは個人によって締結された、外国通貨を必要とするあらゆる取引または事業での支払い。ただし、当該事業体または個人は、当局からの承認を得た後、エジプト中央銀行の許可証を取得しなければならない。
  5. 通貨についての特殊な取り決めがある、フリーゾーンまたは経済特区における取引。
  6. 証券または他の金融商品およびその利息に係る取引または支払い。

旅行者は、入出国の際の外貨持ち込み・持ち出し額が1万ドル(もしくはそれに相当する外貨)を超える場合、税関に申告しなければならない(中央銀行・銀行業・通貨法2003年法律88号-2013年8号改正)。2020年9月29日付中銀通達により、マネーロンダリング防止と電子決済の促進のため、旅行者のエジプト・ポンドでの持ち出し、持ち込みの上限が5,000エジプト・ポンドと定められた(他の通貨は例外)。

資本取引

資本市場の運営については、資本市場法(1992年法律95号)で規定している。

エジプトにおける資本市場の運営について規制する資本市場法の下では、証券の発行を企図するすべての企業は、エジプト金融監督局(Egyptian Financial Supervisory Authority)にその旨を通知しなければならない。公開発行の場合は、目論見書を作成した上で、同局の承認を受けなければならない。

関連法

新銀行業法(2020年法律194号)、資金洗浄(マネーロンダリング)禁止法(2002年法律80号)。

中央銀行・銀行業・通貨法(2003年法律88号)および施行規則(大統領令2004年101号)が、2020年法律194号の新法公布により、規制対象業種が広がり、中央銀行、銀行、為替・送金取扱会社、信用格付け会社、決済システム・決済サービス運営者等に適応される。

該当法令:資金洗浄(マネーロンダリング)禁止法(2002年法律80号)
"Law No. 80 for 2002-Promulgating Anti- Money Laundering Law, Amended by Law No. 78 for 2003"

その他

政変後、ウクライナ侵攻後の外貨事情。

2011年の政変後、主力産業である観光業の低迷などによって外貨不足に陥ったことから、外貨の引き出しや預け入れに規制がかかった。2022年ロシアによるウクライナ侵攻後も外貨不足が深刻化しており、今後も新たな規制がかかる可能性があり注意が必要。

  1. 国外外貨送金の上限額設定
    2011年以降に出された3件の中銀通達(2011年2月13日、2011年5月12日、2011年5月13日付)では、個人の国外への外貨送金については1人当たり年間10万ドルを上限としていたが、2017年6月14日、エジプト中銀は上限額の撤廃を発表した。
  2. 外貨預金の上限額設定

    2015年2月、中銀は法人の外貨預金について、1日当たり1万ドル、1カ月当たり5万ドルという上限額を設定した(通達は口頭で行われ、中銀ウェブサイトに通達文書の掲載はない)。

    ただし、次の法人については特例がある。

    1. 次の「優先度の高い分野」に従事する法人については、中銀は上限額を1カ月当たり25万ドルに緩和した(2016年1月26日付通達)。
      • 基礎食料品
      • 機械、生産装置、部品
      • 中間財、生産資材、原材料
      • 医薬品、ワクチン、関連の化学品
    2. 輸出企業に求められる輸入ニーズに基づく預金の上限について、中銀は条件付きで1カ月当たり100万ドル(またはこれに相当するその他の外貨)に設定した(2016年2月15日付通達)。
    3. 基礎物資輸入に従事する法人に限り、中銀は外貨預金上限額を廃止した(2016年3月9日付通達)。
  3. 外貨の引き出し規制
    「優先度の高い分野」以外の分野に従事する法人の外貨引き出し上限額は、1カ月当たり3万ドルに設定されている。
  4. 輸出の事前申請
    100万ドルを超える輸出の際は中央銀行の許可が必要(2019年8月7日通達)。