2025年7月
関西地域から切り拓くライフサイエンス産業の未来
2025年07月23日

2025年大阪・関西万博の大阪ヘルスケアパビリオン
「2025年大阪・関西万博」では、会期中のテーマウィークのひとつとして、「健康とウェルビーイングウィーク」(2025年6月20日~7月1日)が開催されました。テーマウィークの期間中には、万博会場外の大阪・京都の関西エリアでも多数のヘルスケア関連のイベントが開催され、国内外のヘルスケア分野の関係者が関西に集いました。
関西エリアは、再生医療研究や創薬の分野に関連する企業・大学・研究機関等が集積しており、グローバルなライフサイエンス産業のビジネスハブとして注目を集めています。
その象徴として、大阪・関西万博で地元大阪が出展するのは、「大阪ヘルスケアパビリオン」。大阪の中小企業やスタートアップ、高度な研究実績を有する大学、高度医療機関などが連携し、「REBORN」をテーマに未来社会に向けた知恵やアイディアと、大阪の活力を世界に発信することを目指しています。
パビリオンでは、最先端の医療技術やライフサイエンス産業が創り出す近未来に関連する展示や体験に触れることができます。

iPS細胞に関する展示ゾーン

栄養素をカスタムできるようになる未来を描いたミートメーカーの展示
関西ヘルスケアエコシステムの魅力とポテンシャル
大阪市内では、MedTech Actuator(豪州発の医療技術に特化したアクセラレーター)とJETROによる「J-StarX HealthTech Gateway アクセラレータープログラム」の成果を披露するデモデー(開催日:6月24日)が開催されました。日本の医療・ヘルスケア系スタートアップ10社が海外展開に向け、特にアジア太平洋地域や欧州の投資家・事業会社・医療機関に向けて各社の先端技術についてピッチを行い、会場は盛り上がりを見せました。
日本では最初のアクセラレーションプログラムを関西でローンチしたMedTech ActuatorのCEOであるBuzz Palmer 氏は、関西のヘルスケアエコシステムの魅力について以下のように語ります。
「優れた大学があり、高い製造力があり、優秀な専門家―臨床医、イノベーター、起業家など―がいて、充実した支援体制があり、そして、優秀な人々がいます。関西は、能力、アクセスのしやすさ、全体のエネルギーにおいてちょうどよい規模感があり、エコシステム全体と連携しながら、確かな変化を生み出せる場所です。」

MedTech Actuator CEO、Buzz Palmer氏
大学発のイノベーションと産学官の共創
関西地域のライフサイエンス分野のイノベーションの加速の背景には、大学・研究機関、産業界、行政の連携があります。
例えば、京都は、iPS細胞等の再生医療研究者のほか、創薬・医療機器等の研究開発者、大学発スタートアップの輩出が多く、また、そのような研究開発を支える企業も数多く立地しています。そのような環境が産学官の連携をさらに後押しし、企業との共同研究や社会実装を前提とした技術開発が活発に行われています。
京都大学の「イノベーションハブ京都(IHK)」は、世界トップレベルのバイオ・メディカル分野の研究力に基づいて、研究開発拠点としてベンチャーの育成やシーズの事業化に向けた支援を行うオープンイノベーション施設です。 起業を目指す学生・研究者や、国内外のパートナー企業が大学の医学研究科の先端インフラを活用しながら産学官連携を強めることで、医療・ヘルスケアの研究成果の社会実装が加速しています。

イノベーションハブ京都(IHK)内の研究施設
医療・ヘルスケアビジネスの成長に最適な投資環境と協業への期待
海外のライフサイエンス企業が日本に集い、ピッチや国内企業とのネットワーキングが行われた「Osaka Biotech & Pharma Networking Event」(開催日:6月24日)では、医療・ヘルスケア分野の企業や研究支援機関によるグローバル連携とビジネス創出の場が提供されました。イベントでは、斬新なアイディアの交換、熱気のある交流が行われ、更なる日本市場の盛り上がりと、クロスボーダーの協業連携への道筋が垣間見えました。
血中酸素やバイタル等を秒単位で測定する小型耳装着デバイスを開発する米国発スタートアップOxiWearのCEOを務めるShavini Fernando氏は、日本が肺疾患治療やケアに関して巨大なマーケットを有することに触れ、次のように述べました。
「日本の環境は、私たちのビジョンやミッションと親和性が高く、未来志向であると感じています。新しい技術を積極的に取り入れ、予防医療に向けた取り組みが進んでいます。」 加えて、特に関西地域が「医療機器と製薬産業のハブのような存在」であることから、医療機器メーカーとして、豊かな市場環境と協業連携の機会が事業展開における戦略的な利点であることを示唆しました。

OxiWear CEO、Shavini Fernando氏

Osaka Biotech & Pharma Networking Eventでの企業同士の面談の様子
日本のライフサイエンス産業をけん引してきた企業も、海外企業との連携を通した新たなイノベーションの創出と今後の更なる産業の発展に期待を寄せています。大阪で創業し本社を構えるロート製薬株式会社の川口慶晃氏は、海外企業とのオープンイノベーションについて語りました。
「ライフサイエンス分野の課題が複雑化する現状がありますが、柔軟な発想やスピード感がある海外企業ないしは海外スタートアップ企業と、丁寧に着実に物事を進める日本企業がお互いに足りない部分を補い合うことで、より強いイノベーションを加速していきたいと思っています。」
また、同氏は、関西エリアのビジネス環境の特徴について「大阪、京都、神戸などの大都市がコンパクトな範囲に集まって形成される豊かなマーケットと、歴史的に海外との交流が盛んで異文化コミュニケーションに抵抗がない文化は、関西エコシステムの非常に魅力的な点です。」と語り、前向きでオープンな環境を強調しました。

ロート製薬株式会社、川口慶晃 氏
関西から広がるライフサイエンスの未来
日本が世界に誇るライフサイエンス産業のなかでも、関西エリアは長年にわたるアカデミアの蓄積、医療機関や企業の連携、そして国内外の先端技術の交流が活発に行われ、産業全体にダイナミズムをもたらしています。
未知への挑戦を歓迎する風土とも相まって、新たなビジネスのチャレンジにも、既存事業における更なる価値の創出にも、確かなチャンスの場としてその存在感を増しています。
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また、この成長市場の可能性を探る第一歩として、ぜひジェトロの「対日投資主要産業ライフサイエンス」レポートをご覧ください。
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