外資系企業動向

高精度放射線治療ソリューションを牽引するスウェーデン企業、エレクタが日本での事業を順調に拡大

2023年04月20日

1972年にストックホルムで設立され、ナスダック・ストックホルムに上場している エレクタ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます は、放射線治療に特化した総合ベンダーとして、レクセルガンマナイフ1による脳定位放射線治療に始まり、Linac2 /MR LinacにおけるAdaptive Radiotherapy、小線源治療をはじめとした放射線治療機器の開発を手掛けるスウェーデンのグローバル企業。同社のハードウェアとソフトウェアは、がんや脳疾患の治療のために、世界6,000以上の医療機関で利用されている。40の国と地域に置く現地法人を含め、約4,700名からなるグローバルチームを擁し、世界120カ国でソリューションとサービスを提供している。同社が開発したレクセルガンマナイフは、1990年に日本第一号機が導入された。現在は世界で336台が導入され、そのうち49台が日本にあり、米国に次いで設置台数が多い。

事業拡大
2022/01
進出先
東京都

  • バイオテクノロジー/ライフサイエンス
  • スウェーデン

エレクタ株式会社は、1993年に神戸で設立され、2009年に東京に移転した日本法人。現在約150名体制で、同社の幅広いポートフォリオを展開している。近年では、キヤノンメディカルシステムズ株式会社社と共同開発したCT一体型リニアックや、同社のオランダのパートナーであるフィリップス社製の高磁場・高解像度1.5テスラMRIと直線加速器(リニアック)を統合した高精度放射線治療装置「Elekta Unity」なの販売を行っている。また、2032年までに同社の製品から排出される温室効果ガスの46.2%削減を掲げるなど、グローバル企業としてSBT(Science Based Targets :科学に基づく環境設定)にも積極的に取り組んでいる3

「Elekta Unity」は千葉大学医学部附属病院、大阪公立医学部附属病院、東北大学病院に導入されている。世界的には、2022年9月時点で、27カ国で115台以上を受注しており、そのうち50台が既に臨床稼働されている。これまでの各施設での治療症例としては、5年生存率が低い膵臓がんや、比較的生存率の低い肝臓がんや食道がんなど、40種類以上のがんを対象としている。

Elekta Harmonyの外観

また、近年のコロナ禍、働き方改革、また治療成績の向上により放射線治療の在り方も大きく変化を遂げており、同社も様々なニーズに対応するためのイノベーションを起こしている。2022年はそういった環境の変化に対応するべく、顔認証による非接触での患者確認など、新しいコンセプトのリニアック「Elekta Harmony」を上市した。

一方、治療情報システムとしては、ジェトロとのコラボレーションによりクラウドに関する調査およびネットワーク環境を整え、日本では初のクラウド型がん治療システム (Elekta Axis) を受注している。患者自身が治療中、治療後の体調をタブレットなどで入力し、その情報を病院のシステムと連携することができるモニタリングアプリケーション「Kaiku」を導入。副作用の見逃しを防ぐことにも注力することで、がん治療成績の改善および生活の質 (QOL) が向上することが期待される。

同社の木村元彦社長は「高成長を続けるAPAC市場の中で、日本は放射線治療を受けるがん患者の割合が25~30%と、米国4など他の国に比べて非常に低い。エレクタの包括的なポートフォリオにより、放射線治療の適応拡大を目指し、すべてのがん患者さまががん治療に対して希望を持てるよう尽力していく」とコメントしている。

今後もそれらのDNAをリニアックなどの外部放射線治療や、それらを管理、運用するがん治療情報システムなどに展開し、放射線治療の総合ベンダーとしてポートフォリオを拡大していく。

同社の日本での認知度向上のため、ジェトロ対日投資・ビジネスサポートセンター(IBSC)では、PR支援を行った(サクセススト-リ-)。

日本法人代表取締役社長の木村氏(左)と、アジアパシフィック & ジャパンマーケティング統括本部長の渡辺氏(右)

  1. 1.
    レクセルガンマナイフ(Leksell Gamma Knife):1968年にスウェーデン カロリンスカ研究所の脳神経外科医ラース・レクセル教授(エレクタ創業者)によって開発された脳内疾患専用の定位放射線治療装置。約200個の線源(コバルト60)から発するガンマ線(γ線)を用いて、虫眼鏡の焦点のように病巣部に対して集中的に照射する治療法。
  2. 2.
    リニアック(linear particle accelerator):直線加速器。放射線治療用の X 線や電子線を発生さる一般的な放射線治療装置。頭から四肢まで、全身のあらゆる領域の病変の治療が可能な汎用機。
  3. 3.
  4. 4.

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