外資系企業動向

超音波を用いた画像解析ソフトウェアシステムを開発し、複数の臨床応用における組織損傷の監視と制御を行うイスラエル企業TechsoMed Ltd.の日本法人が順調に事業を拡大

2022年01月04日

TechsoMed Ltd.外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます は、2012年に設立されたイスラエルの医療用画像処理ソフトウェア会社で、AIに基づいた技術であるBioTraceプラットフォームを開発している。BioTraceプラットフォームは、市販の標準的な超音波画像を用いて、医師が熱焼灼*の施術中に組織の生存率を検出し、可視化することを可能にする。

拠点設立
2019/04
進出先
東京都

  • バイオテクノロジー/ライフサイエンス
  • イスラエル

同社の技術は、腫瘍学(腫瘍の焼灼)、心臓学(不整脈)、疼痛管理(高周波神経切除術)など、複数の臨床応用における瞬時の画像解析を目的としている。BioTraceプラットフォームは、AIアルゴリズムを使用して、熱焼灼に対する特有な生物学的組織反応を追跡し、組織の損傷マップを形成しながら視覚化する。この損傷マップは、現状では治療後24時間のCT画像でのみ確認できる損傷の全容を表すため、治療精度の向上、健康な組織の損傷の最小化、標的組織の焼灼の最大化に寄与する。

このシステムは、東京大学医学部附属病院で行われた予備的な臨床検証の成功を受けて、現在開発が進められている。その検証では、50例以上の症例で、処置後24時間のCECT(造影剤を用いたコンピュータ断層撮影)と比較して、90%以上と高い一致率を示した。

Techsomed-BioTrace

同社の最初の製品であるBioTrace IOは、主に肝臓腫瘍の焼灼術に使用することを目的としており、米国での多施設試験で臨床的に検証されている最中で、2022年にFDAによる承認が見込まれている。また、日本の順天堂大学と共同で、BioTrace IO製品の臨床検証を進めている。

2019年、同社に出資している日本のパートナー2社(アクシル・キャピタルと株式会社SCREENホールディングス)との合弁会社として、東京都に「テクソメッド・ジャパン株式会社」を設立した。この日本法人は、日本におけるBioTraceプラットフォームのPMDA承認取得を目指し、日本およびアジア太平洋地域での製品発売に向けて、マーケティングと事業開発を推進していく。

同社の日本法人設立および事業拡大に際し、ジェトロ対日投資・ビジネスサポートセンター(IBSC)では、市場・規制情報の提供、サービスプロバイダーの紹介(医療翻訳会社)、ビジネスマッチングの支援を行った。

  1. *

    熱焼灼(thermal ablation):低侵襲医療の一種で、熱を利用して組織を除去したり、機能を破壊したりする治療法。熱焼灼治療では、高周波電流、マイクロ波、レーザー光、焦点式超音波などのエネルギー源を使用する。近年、画像誘導による経皮的熱焼灼は、悪性肝腫瘍の局所療法として広く受け入れられている。局所的で低侵襲、低罹患率の治療法として、熱焼灼は手術に不適格な患者の重要な選択肢となっている。手術と比較して、経皮的治療は侵襲性が低く、局所麻酔で行うことも可能であり、重篤な合併症の発生頻度も低く、回復に要する時間も短く、入院して行うことができるため、患者と医療システムの両方にとって負担とコストの軽減が可能となる。

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