中国、米国のDeepSeek利用禁止措置に反発

(中国、米国)

北京発

2026年11月05日

中国商務部は10月20日、米国国土安全保障省(DHS)が米国連邦政府の行政部門の調達やITシステムで中国の人工知能(AI)開発スタートアップ、ディープシーク(DeepSeek、同社が開発する生成AIモデル・サービスも同名称を使用)の製品・サービスを禁止すると発表(2026年10月23日記事参照)したことに関して報道官談話を発表し、強烈な不満と断固反対を表明した。

談話では、中国AI企業は世界のユーザーに対して安全かつ信頼できるサービスを提供しており、所在国の法律を遵守していると説明した。また、米国は米中両国首脳の重要な合意を顧みず、米中の経済貿易関係の大局を無視し、国家安全を口実として、中国のAI企業に対して差別的・制限的措置を取っており、これは国家安全保障概念の拡大解釈の典型だと批判した。さらに、同措置は中国企業の合法的権益を著しく損ない、公平な競争からなる市場環境を破壊し、米中間のAI分野の通常のビジネス協力に干渉するものであるとも指摘した。その上で、米国側に関連措置の撤回を求めると同時に、中国の利益を実質的に損なう行為に対しては、自身の正当な合法的権益を守るために必要なあらゆる措置を取ると表明した。

米中両国は9月に米国で行われた米中首脳会談において、米中AI対話の立ち上げで合意しており(2026年9月30日記事参照)、今回の談話で商務部は米国に対して同対話メカニズムを活用し、相互信頼を増進し、相違を管理・コントロールし、ともにAIのより良い発展を推進するよう求めている。

中国側は輸出禁止・制限対象技術にAIを追加、中国AI企業は臨時登記に対応

なお、中国商務部は10月16日、科学技術部と共同で「輸出禁止・制限技術目録」の改正案を公表し、AI分野の輸出禁止・制限対象として大規模モデル、エージェント、コンピューティング能力(算力)クラスター、情報処理関連の23項目の技術を追加した。また、同改正案の公布以降、改正が実施される日までの間、技術輸出事業者が改正案に記載された技術を輸出する場合、商務部のシステム上で輸出先の国・地域や輸出する技術・用途などについて臨時登記を行う必要があるとした(注、2026年10月21日記事参照)。なお、中国中央電視台(CCTV)傘下メディア「玉渊潭天」は、中国の有力AI企業であるDeepSeekおよびMiniMax(稀宇科技)は既に本件の登記手続きを完了しているとしている。

(注)商務部は、目録において輸出が制限される「制限類」に指定されたAI技術を海外で導入する場合は技術輸出管理の対象になるとしている一方、同技術の導入が海外の自社クラウド上で行われるなどリスクがコントロールできる状況であれば自動許可などの円滑化措置を適用するとしているほか、既にオープンソースや学術論文の発表などによって公知となっている技術については管理範囲に含めないとも説明している。

(小宮昇平)

(中国、米国)

ビジネス短信 079d4f498de1857e