中国商務部など、輸出を制限・禁止する技術目録の第5次改正草案を公表、AI関連技術などを追加
(中国)
北京発
2026年10月21日
中国商務部および科学技術部は10月16日、2026年第48号公告
にて、「輸出禁止・制限技術目録」の改正案を公表し、同日から11月15日までの期間で意見募集を開始した(注1)。同目録は「対外貿易法」および「技術輸出入管理条例」に基づき策定されるもので、今回が5回目の改正となる(注2)。公告によると、今回の意見募集稿には人工知能(AI)、バイオ医薬、太陽光発電関連製品の3分野における40項目の技術が含まれる。
AI分野では、大規模モデル、エージェント、コンピューティング能力(算力)クラスター、情報処理関連の23項目の技術が追加された。既にオープンソースや学術論文の発表などによって公知となっている技術については管理範囲に含めないとした。バイオ医薬分野では、細胞・ゲノム治療、小分子核酸医薬品、病原微生物関連の5項目の技術が追加された。所有権の移転を伴わないライセンス供与モデルについては自動許可などの円滑化措置を適用するとした。太陽光発電関連では、多結晶シリコン製造、シリコンウエハー製造、電池製造関連の12項目の技術が追加された。関連技術を搭載した重要・コア設備も管理範囲に含むとされた。
なお、本公告の公布日以降、目録の改正が実施される日までの期間において、技術輸出事業者が本公告添付リストに記載された技術を輸出する場合、商務部のシステム上で輸出先の国・地域や輸出する技術・用途などについて登記を行う必要がある。既に当該技術の輸出を開始しており未完了の場合も登記の対象となる。
商務部は本公告と同時に発表した報道官談話において、今回の改正の背景について、AI、バイオ医薬、太陽光発電関連技術のセンシティブな分野における応用が広がっている中で、技術のコントロール不能や不正な拡散のリスクを防ぎつつ、通常の国際的な技術交流を保障するために必要な管理を行うためと説明している。
特にAIに関しては、国の重要情報インフラや国防軍事工業、核心的行政システムなどのセンシティブなシステムへの攻撃や国の安全防御システムの迂回に用いられる恐れがある、AIによる自主駆動型の悪意あるコード生成・改ざん技術などを管理対象にしているとした。一方で、中国はオープンソースAIによるイノベーションエコシステムの構築を支持しており、中国企業による域外でのコンピューティングセンターの建設・運営、海外の資源を利用した共同研究開発の実施、国際標準の策定への関与などの場合に技術を輸出する際には自動許可などの円滑化措置を適用するとした。
このほか、談話ではAI大規模モデルや応用製品の「出海」(海外展開)が多様化している中で、個々のケースが技術輸出管理の範囲に含まれるか否かの判定の核心は制限類の技術が中国域内から域外へ移転されるか否かにあると解説している。今回管理対象となるAI技術の範囲はピンポイントで限定されており、今回の措置実施後も大部分のAI技術は依然として自由に輸出が可能であるとも表明している(注3)。
(注1)今回追加された技術の範囲、パラメータ、管理コントロール政策、円滑化措置などに関する意見は、公告に記載された宛先に対して、電子メール、ファックス、郵便で提出できる。
(注2)現行の輸出制限・禁止技術目録についてはジェトロ調査レポート「輸出禁止・輸出制限技術目録の概要
(522KB)」「輸出禁止・輸出制限技術目録の実務上のポイント
(470KB)」などを参照。
(注3)例えば、商務部は、制限類のAI技術を海外で導入する場合は技術輸出管理の対象になるとしている一方、同技術の導入が海外の自社クラウド上で行われるなどリスクがコントロールできる状況であれば自動許可などの円滑化措置を適用するとしている。
(小宮昇平)
(中国)
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