トランプ米政権、連邦政府の行政部門で中国ディープシーク製品の調達禁止
(米国、中国)
ニューヨーク発
2026年10月23日
米国国土安全保障省(DHS)は10月20日、連邦政府の行政部門(注1)の調達やITシステムで中国の人工知能(AI)開発スタートアップ、ディープシーク(DeepSeek、同社が開発する生成AIモデル・サービスもこの名称を使用)の製品・サービスを禁止すると発表した。同日付の官報で、DHSのマークウェイン・マリン長官が7月24日に発した命令を公表した。
マリン長官は命令で、連邦行政機関に対し、ディープシークや関連企業の製品・サービスを調達することを禁じた。また、同社や関連企業、同社の技術を使用して開発された第三者の製品・サービスをITシステムから削除するよう命じた。いずれの命令も直ちに実行するよう求めた。同長官は命令の理由として、米国政府職員などがディープシークのAIアプリケーションを利用すると、機微な情報が同社を通じて中国政府にわたる恐れがあるなどと指摘した。
これらの命令は、「2018年連邦調達サプライチェーンセキュリティー法」に基づく。同法は、連邦政府による情報技術の調達における「サプライチェーンリスク(注2)」を低減するための措置を定めている。具体的には、DHS長官や戦争長官(国防長官)、国家情報長官に対し、政府調達や連邦機関の情報システムから特定の情報技術や通信機器・サービスなどを排除する命令を発する権限を与えている。各政府機関は命令に従う義務がある。
今回の命令に関し、米国連邦議会下院の中国特別委員会のジョン・ムーレナー委員長(共和党、ミシガン州)は、「トランプ政権がこの常識的なAI規制措置を講じたのは正しい」と評価する声明を発表
した。中国特別委は2025年4月、ディープシークを通じた中国への情報流出リスクなどに関する調査報告書を公開
し、米国政府機関が協力して中国のAI開発状況を監視することなどを勧告していた。
米中両国は2026年9月の首脳会談で、AIがもたらすリスクと利益に関する対話枠組みを創設するなど、米中の2国間協議でAIの比重は増している(2026年9月28日記事参照)。トランプ政権が自国のAI開発企業への規制強化に消極的な姿勢を示す中、中国製AIへの規制を強めれば、今後の米中関係の不安定化要因になり得る。
(注1)国防総省や情報機関を除く連邦政府機関。
(注2)通信機器・サービスやそれらによって保存・送信される情報が、不正に操作されるリスクなどを指す。
(甲斐野裕之)
(米国、中国)
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