量子分野の日・デンマークビジネスイベントで、支援機関間連携やスタートアップ進出の発表相次ぐ

(デンマーク、日本、EU)

デュッセルドルフ発

2026年10月01日

デンマークのコペンハーゲンで9月9~10日に開催された量子技術に関する国際会議「Q2Bコペンハーゲン 2026」(2026年9月25日記事参照)に合わせて開催されたイベントで、日・デンマーク間の量子分野のビジネス関係深化を象徴する発表が相次いだ。

会期2日目の9月10日に、クオンタム・デンマーク外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(Quantum Denmark)(注1)、在日デンマーク大使館、インベストメント・イン・デンマーク(注2)の3者が、森美樹夫駐デンマーク日本大使とインベスト・イン・デンマークのウルリク・エバースブッシュ長官を迎えてビジネスサイドイベントを開催した。同イベントでは、産業技術総合研究所の量子・人工知能(AI)融合技術ビジネス開発グローバル研究センター(G-QuAT)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(注3)とクオンタム・デンマークが、相互のインキュベーション機能に関する包括協定に調印した。これは、2025年10月に締結した覚書(MOU)を受けた協力関係を深化させるための枠組みを整えるものだ。クオンタム・デンマークのローラ・スモリア最高経営責任者(CEO)は、この協力関係を通じ、量子関連日本企業の入居と支援の提供に期待を寄せた。

写真 G-QuATとクオンタム・デンマークによる包括協定調印式の様子(クオンタム・デンマーク提供)

G-QuATとクオンタム・デンマークによる包括協定調印式の様子(クオンタム・デンマーク提供)

なお、2026年4月20日には、結晶技術と光の波長変換技術に強みを持つ日本企業オキサイド(OXIDE)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが、初のクオンタム・デンマークのサプライチェーン・パートナーシップ・プログラム選定企業となったことを発表。このプログラムを通じ、クオンタム・デンマークは、研究資金へのアクセス、研究機関・企業ネットワークや量子ハードウェア・サプライチェーンへのコンタクトを支援している。

今回のビジネスサイドイベントでは、横浜国立大学発スタートアップ企業で、量子インターネットの実用化を目指して量子通信技術を開発するルクオム(LQUOM)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますがデンマークに進出したことを発表。2026年7月に法人登記を完了し、クオンタム・デンマークに入居したことを明らかにした。同社の新関和哉CEOはデンマークへの進出理由について、欧州において随一の集積を誇る量子関連産業エコシステムと主要プレーヤーへのつながりやすさ、豊富な人材をその理由として挙げるとともに、デンマークを拠点として、欧州に事業展開をしていく計画を語った。加えて、日本が準参加するEUの研究開発支援の枠組み「ホライズン・ヨーロッパ」(2026年8月4日記事参照)のプロジェクトへの参加も積極的に検討していきたいと述べた。なお同社は、2026年4月にシリーズBラウンドでの2回目の資金調達を実施し、シリーズBラウンドでの調達額が12億3,000万円に及んだことを発表、着実な成長の軌跡を歩んでいる。

写真 ルクオムのデンマーク進出を祝うテープカットセレモニーの様子(クオンタム・デンマーク提供)

ルクオムのデンマーク進出を祝うテープカットセレモニーの様子(クオンタム・デンマーク提供)

写真 ルクオムはクオンタム・デンマーク内に入居(クオンタム・デンマーク提供)

ルクオムはクオンタム・デンマーク内に入居(クオンタム・デンマーク提供)

また、あわせて、京都大学発スタートアップ企業のヤクモ(Yaqumo)が2026年6月に発表した、浜松ホトニクスとそのデンマーク子会社(注4)との技術連携の取り組みについて説明、デンマークと日本の企業が持つそれぞれの強みを生かしたシナジー効果について講演した。

(注1)デンマークの量子技術のインキュベーションおよび事業化支援機関。

(注2)デンマーク外務省の投資誘致部門。

(注3)G-QuATの取り組みについては、地域・分析レポート「量子技術の発展に欠かせない国際連携と日本の取り組み」参照。

(注4)浜松ホトニクスは2024年5月に、フォトニック結晶ファイバーを製造するデンマーク企業NKTフォトニクスを買収し子会社化した。

(福井崇泰)

(デンマーク、日本、EU)

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