量子技術に関する国際会議がコペンハーゲンで開催、実用化や事業化に向けた議論が活発に

(デンマーク、米国、英国、ドイツ、欧州、日本)

イノベーション部戦略企画課

2026年09月25日

量子技術に関する国際会議「Q2Bコペンハーゲン 2026」が9月9~10日、デンマーク・コペンハーゲンで開催された。Q2Bは北米、欧州、アジアで年に3回開催される量子技術分野の主要イベントで、欧州ではこれまでパリで開催されてきたが、今回初めてコペンハーゲンで開催された。

主催は米国の量子コンピューティング企業QCウェア(QC Ware)で、デンマーク外務省、ノボ・ノルディスク財団、量子特化型ベンチャーキャピタル(VC)のフィフティファイブ・ノース(55North)が共催した。会議には世界の産業界、研究機関、政府、投資家ら600人超が参加し、量子技術の実用化や事業化に向けた議論が活発に行われた。

特に初日午後には、ライフサイエンス分野に特化したセッション会場が設けられ、英国のアストラゼネカやドイツのベーリンガーインゲルハイムなど大手製薬企業が、創薬への量子コンピュータの活用の取り組みを紹介した。

デンマーク政府は、2023~2027年に量子エコシステム強化へ総額10億デンマーク・クローネ(約239億円、DKK、1DKK=約23.9円)を投じる方針を掲げている(2025年9月25日付地域・分析レポート参照)。人口約600万人の小国としては極めて大規模な投資だ。さらに同国の製薬大手ノボ・ノルディスクをルーツとするノボ・ノルディスク財団は、量子コンピュータの研究拠点NQCPに加え、量子チップ製造拠点クオンタム・ファウンドリー・コペンハーゲン(QFC)を設立しており、会議直前の9月4日には5,300平方メートル規模の製造施設建設計画を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。2027年にはラボの稼働が予定されている。NQCPおよびQFCのピーター・クログストロップ最高経営責任者(CEO)が同発表で、先進的な次世代量子プロセッサーを提供し、将来の量子技術を担うディープテック産業の育成を支援したいと述べたほか、欧州委員会もQFCの取り組みは欧州が量子技術の産業化・社会実装を進めるために必要なエコシステム形成に貢献するものとして期待を寄せる。加えて、同財団と政府系ファンドEIFOを主要出資者とする55 Northが量子スタートアップへの資金供給を担うなど、デンマークでは、政府、研究機関、産業界、投資家が連携する「産学官金」一体のエコシステムが構築されている。こうした体制に加え、世界水準の研究基盤やフォトニクスなど関連産業の集積も強みとなっている。

日本からはQ2Bに計10の企業・団体が出展し、高い存在感を示した。これを受け、量子技術のインキュベーションおよび事業化支援機関であるクオンタム・デンマーク(Quantum Denmark)のローラ・スモリアCEOは、「日本は量子チップ製造に不可欠な高度な要素技術を有しており、期待が大きい」と語った。

写真 研究成果の商業化についてのパネルディスカッションに登壇するスモリアCEO(写真左端)(ジェトロ撮影)

研究成果の商業化についてのパネルディスカッションに登壇するスモリアCEO(写真左端)(ジェトロ撮影)

写真 会議に合わせて多くのサイドイベントが開催、国際連携の可能性を議論する場に(ジェトロ撮影)

会議に合わせて多くのサイドイベントが開催、国際連携の可能性を議論する場に(ジェトロ撮影)

(谷口嘉那子、福井崇泰、バリス・ウストゥルク)

(デンマーク、米国、英国、ドイツ、欧州、日本)

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