米国の関税観に広がるねじれ、外交問題評議会(CFR)による世論調査
(米国)
ニューヨーク発
2026年10月22日
11月3日に中間選挙を控える中、米国のシンクタンクである外交問題評議会(CFR)は10月6日、貿易や関税に関する世論調査結果
を発表した。同調査では、民主党支持者が保護主義的で、共和党支持者が自由貿易を支持するという従来の構図とは異なる傾向が明らかになった。
中間選挙における有権者の最大の関心事は経済問題で、中でも生活費の負担の大きさを示す「アフォーダビリティー」が重要な争点となっている(注1)。CFRが米国調査会社のモーニングコンサルトと実施した世論調査(注2)によると、食料品や日用品の購入費用について、「とても懸念している」「いくぶん懸念している」と回答した割合は75%に達した。また、その回答者の83%が「関税がこれら商品の価格を押し上げている」と回答した(注3)。
米国の「公正な貿易相手」について、回答者の過半数は、米国の伝統的な同盟国・地域であるカナダ(56%)、日本(54%)、EU(53%)、メキシコ(52%)を挙げた。また、ドナルド・トランプ大統領に続く次期大統領が「全ての関税を撤廃すべき」と回答したのは、カナダで28%、日本はメキシコやEUと同率の23%にとどまった。中国については17%だった(注4)。民主党支持者は、無党派層や共和党支持者と比べて、全ての関税の撤廃を支持する傾向が強かった。
4割が中国を「不公正な貿易相手」と回答
中国に対しては、「不公正な貿易相手」だと回答した割合は40%で、「公正な貿易相手」(35%)を上回った。中国から国家安全保障に不可欠な商品を輸入することについて、「反対」あるいは「恐らく反対」と回答した割合は42%だったが、「賛成」あるいは「恐らく賛成」と回答した割合も40%だった。なお、中国に対して現行の関税率が「高すぎる」と回答した割合は43%で、「低すぎる」(7%)を大きく上回った。「わからない」と回答した割合は22%だった(注5)。
こうした結果を踏まえ、CFRは「関税の負担を誰が負うべきか、次期大統領がトランプ政権の関税措置をどう扱うべきかといった根本的な問題について、米国人の意見は割れている。これらの問題やその他の疑問は、中間選挙で解決されることはなく、今後数年にわたって議論が続くだろう」と指摘している。
米国では従来、労働組合を主要な支持母体に持つ民主党が保護主義的で、プロビジネスからの支持を集める共和党が自由貿易を支持する立場だといわれてきた。しかし、共和党のトランプ大統領が労働者のための通商政策を掲げて関税措置などを実行して以降、こうした構図が必ずしも当てはまらなくなっている。また、カナダや日本、EUなどに対する関税の撤廃を必ずしも多くの米国人が望んでいないことから、トランプ政権以降、どの政党が政権を担っても、追加関税政策が完全には撤廃されない可能性も視野に入れておく必要がある(注6)。
(注1)米国シンクタンクのピュー・リサーチ・センターが2026年7月6~12日に実施した世論調査。
(注2)2026年8月18~19日にオンラインで実施。米国の成人2,200人を対象。
(注3)関税の負担者を「米国人」と回答した割合は41%、「外国人」は40%だった。支持政党別にみると、半数以上の民主党支持者(51%)は「米国人」と回答した一方、半数以上の共和党支持者(52%)は「外国人」と回答した。
(注4)「関税は国家安全保障に関わる問題に限定すべき」という回答も2割程度あった。日本に対しては24%、メキシコと中国は同率で21%、カナダとEUは同率で20%。
(注5)中国に対しては、1974年通商法301条に基づき、知財慣行や強制労働産品の輸入禁止措置などを理由に追加関税が課されている(2026年7月24日記事、2026年10月8日記事参照)。
(注6)長期的な視点での米国の関税政策は、2025年9月10日付地域・分析レポート参照。
(赤平大寿)
(米国)
ビジネス短信 fbb40d2d6bb4a3e9





閉じる