米USTR、強制労働産品の輸入禁止措置を巡り、日本含む60カ国・地域に301条関税賦課を最終決定
(米国、日本)
ニューヨーク発
2026年07月24日
米国通商代表部(USTR)は7月23日、1974年通商法301条に基づき、強制労働産品の輸入を禁止していない、あるいは輸入を禁止するために効果的な措置を取っていないことを理由に、日本を含む60カ国・地域からの輸入に10~12.5%の追加関税を課すと発表
した(注1)。同日、ファクトシート
も発表した。米国税関・国境警備局(CBP)もガイダンス
を発表した。
USTRが発表した官報
によれば、追加関税率と対象国・地域は次のとおり(注2)。
- 追加関税率10%:アルゼンチン、バングラデシュ、カンボジア、カナダ、エクアドル、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス、インド、インドネシア、ヨルダン、マレーシア、メキシコ、パキスタン、スリランカ、英国、トリニダード・トバゴ(注3)。
- 一般関税(MFN)率と合計して10%または12.5%:EUおよび台湾に対しては、一般関税率が10%未満の場合、一般関税率と追加関税率を合計して10%。一般関税率が10%以上の場合、追加関税率はゼロ。日本、韓国、スイスに対しては、一般関税率が12.5%未満の場合、一般関税率と追加関税率を合計して12.5%。一般関税率が12.5%以上の場合、追加関税率はゼロ。
- 12.5%:その他全ての調査対象国・地域(注4)。
追加関税は原則として、これらの国・地域からの全ての輸入に適用されるが、1962年通商拡大法232条に基づく追加関税の対象となっている品目、米国内で供給できなくなる恐れがある原材料、米国経済全体に混乱を招きかねない製品、などは対象外とした。具体的な米国関税分類番号(HTSコード)は、官報の付属書IおよびIIに記載した。そのほか、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の原産地規則を満たして無税で輸入される製品も対象外とした。また米国は今後、バングラデシュ、カンボジア、インドネシア、マレーシアから輸入する特定の繊維製品およびアパレル製品に対して、3年間の関税割当(TRQ)を設定し、当該国の米国からの原材料や綿花の輸入量に応じて一定数量まで、追加関税なしで輸入できるようにする(注5)。米国からの輸入を促すことで、これら製品が、強制労働を利用して生産されることを防ぐ狙いがある。
今回の301条に基づく追加関税は、米国東部時間7月24日午前0時1分以降に通関する貨物に適用される。ただし、同時刻より前に船積みされ、7月28日午前0時1分までに通関する貨物は適用対象外とする。
連邦最高裁判所が2月に、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく関税を違法と判断した後、ドナルド・トランプ大統領は1974年通商法122条に基づいて10%の追加関税を課した。122条は条文上、議会の延長承認がない限り、関税を課す期間を150日以内と定めているため、7月24日が期限になっていた(2026年2月24日記事参照)。今回の301条措置により、米国への輸入には、切れ目なく追加関税が課されることになる。なお、日本は2025年7月、米国との間で、一般関税率と相互関税率(注6)を合計して、原則15%とすることで合意していた(2025年7月28日記事参照)。
(注1)USTRは3月に、主要貿易相手国・地域が強制労働を使用して生産された産品の輸入禁止措置を実施しているかについて調査を開始し、6月に調査結果を発表していた(2026年6月3日記事参照)。その後、公聴会を経て(2026年7月10日記事参照)、今回の措置の内容を決定した。
(注2)USTRはこれら追加関税の対象となる60カ国・地域との輸入額が、米国の全輸入額の99.4%を占めると説明している。
(注3)調査対象国のうち、強制労働製品の輸入禁止措置を課している国や、米国との相互貿易協定を通じて輸入禁止措置を課すことを約束した国などが対象となっている。
(注4)アルジェリア、アンゴラ、オーストラリア、バハマ、バーレーン、ブラジル、チリ、中国、コロンビア、コスタリカ、ドミニカ共和国、エジプト、ガイアナ、香港、イラク、イスラエル、カザフスタン、クウェート、リビア、モロッコ、ニュージーランド、ニカラグア、ナイジェリア、ノルウェー、オマーン、ペルー、フィリピン、カタール、ロシア、サウジアラビア、シンガポール、南アフリカ共和国、タイ、トルコ、アラブ首長国連邦(UAE)、ウルグアイ、ベネズエラ、ベトナムの38カ国・地域。
(注5)TRQが設定されるまでは、追加関税率10%を適用する。
(注6)相互関税はIEEPAに基づいて課されていたため、現在は課されていない。
(赤平大寿)
(米国、日本)
ビジネス短信 a4c34f1e9b687c71





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