トランプ米大統領、グラム法に基づくロシアに対する追加関税賦課を見送り

(米国、ロシア、インド)

ニューヨーク発

2026年10月21日

米国のドナルド・トランプ大統領は10月16日、故リンゼー・グラム上院議員の名前を冠した対ロシア・イラン制裁法(グラム法)を履行する大統領令外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。ただし、同法で定めたロシアなどに対する追加関税の引き上げは行わないと規定した。

トランプ氏は9月18日、グラム法に署名し同法は成立した(2026年9月18日記事参照)。同法は成立後30日以内に、ロシアからの全ての輸入に最大500%の関税を課すことのほか、ロシア産原油または天然ガスの輸入量が大きい上位5カ国やロシア産石油に対する制裁回避を助長した上位5カ国に最大100%の関税を課すことなどを定めていた。しかし今回の大統領令では、これらの適用の免除を決めた(注)。グラム法では、大統領が議会に対して、これら措置を適用しないことが米国の国益にかなうと書面で報告した場合、適用免除できると定めていた。適用免除は、大統領または国務長官が、さらなる措置が適切であると判断するまで継続する。なお、大統領令では国益にかなう詳細な条件は公開していない。

今回の決定に対し、民主党議員からは、ウクライナに対する米国の支援を損なうもので、トランプ氏がロシアに肩入れしている、との批判が挙がっている(政治専門紙「ポリティコ」10月16日)。またトランプ政権は10月9日に、ロシア産軽油(ディーゼル燃料)の輸入などを2027年4月まで一時的に認める制裁緩和措置も発表しており、その際も同様の理由で議会から批判を受けていた(2026年10月14日記事参照)。

なお、国務省のマルコ・ルビオ長官は10月18日に、今回の免除措置を決定した背景には、インドとの貿易協定の妥結が最終段階(2026年2月10日記事参照)にあり、「大統領が国家安全保障上の免除措置などを決定する際、こうした点も考慮に入れている」と明らかにした。同長官は、インドのような国々はエネルギー調達先の多角化を進めてきたものの、供給源を急速に切り替えることは難しく、依然としてロシアからかなりの量のエネルギーを調達していると指摘している(通商専門誌「インサイドUSトレード」10月19日)。インドは中国に続き、ロシア産原油の輸入量が大きい国とされている。

(注)今回の大統領令では、追加関税措置以外にも複数の制裁について、免除を宣言している。

(赤平大寿)

(米国、ロシア、インド)

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