トランプ米大統領、ロシア産石油購入を理由とした対インド追加関税の撤廃と2国間の暫定貿易合意を発表
(米国、インド、ロシア)
ニューヨーク発
2026年02月10日
米国のドナルド・トランプ大統領は2月6日、ロシアからの石油輸入を理由としたインドへの25%の追加関税を撤廃する大統領令を発表
した。また同日、インドとの互恵的な貿易に関する暫定協定の枠組みで合意したとも発表
した。
米国は、インドがロシアの石油を再販売して利益を得ていることがロシアによるウクライナ侵略を助長するなどとして、2025年8月からインドからの輸入に追加関税を課していた(2025年8月7日記事参照)。今回の大統領令によると、米国東部時間2月7日午前0時1分以降に米国での消費を目的にインドから輸入された、または米国での消費を目的として倉庫から出庫された貨物を対象に追加関税を撤廃する。
追加関税を撤廃した理由には、インドがロシアからの石油輸入を直接的・間接的問わず停止するとともに、米国産エネルギーの購入や米国との10年間の防衛協力拡大を表明したことなどを挙げた。ただし、商務長官らに対し、インドがロシア産石油の輸入を再開しないか監視し、再開した場合には、追加関税の再賦課を含む新たな措置を大統領に勧告するよう定めた。
インドとの貿易に関する暫定協定の枠組み合意も発表
トランプ氏とインドのナレンドラ・モディ首相は2025年2月に首脳会談を行い、2国間貿易協定(BTA)の第1段階の交渉を2025年秋までに行うと発表していた(2025年2月17日記事参照)。今回発表された共同声明によれば、暫定協定の枠組みは、BTA交渉への両国のコミットメントを再確認するものと位置付けられている。暫定協定の主な内容は次のとおり。
〇米国は、衣料品やプラスチック、ゴム製品などを含むインド産品に課す相互関税率を現在の25%から18%へ引き下げる。暫定協定の合意後に、各国との合意に基づいて相互関税を免除する可能性のある品目として指定しているジェネリック医薬品や航空機部品など(2025年9月8日記事参照)を相互関税の対象外とする。
〇米国の1962年通商拡大法232条に基づく鉄、アルミニウム、銅への追加関税の適用対象からインド産の一部の航空機・同部品を除外する。また、インド産のジェネリック医薬品・同原料については、米国が232条に基づく医薬品・同原料への輸入制限措置を行う際に考慮する(注)。
〇インドは、米国産の工業製品および食品・農産物に対する関税を撤廃・削減する。
〇インドは米国製のエネルギー製品や航空機・同部品などを今後5年間、5,000億ドル規模で購入する。また、両国はデータセンター向け画像処理装置(GPU)などの技術製品の貿易を大幅に拡大するとともに、技術協力を拡充する。
〇BTA交渉を通じた市場アクセス機会のさらなる拡大に取り組む。投資審査や輸出管理に関する協力などを通じて、サプライチェーンの強靭(きょうじん)性とイノベーション強化のための経済安全保障上の連携を強化する。
米国通商代表部(USTR)のジェミソン・グリア代表は同日に発表した声明
で、枠組み合意は「両国の農家と起業家に新たな機会を創出し、米国とインドの絆が深まっていることを示すもの」と述べた。
(注)医薬品・同原料については、商務省が2025年4月に232条に基づく調査開始を発表している(2025年4月15日記事参照)。今回の発表では、「(暫定協定の枠組みに関する)交渉による成果を得る」と記載されている。
(滝本慎一郎)
(米国、インド、ロシア)
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