米連邦下院、ロシアとロシア産エネルギー主要輸入国への追加関税・制裁法案を可決

(米国、ロシア、イラン)

ニューヨーク発

2026年09月18日

米国の連邦議会下院は9月16日、故リンゼー・グラム上院議員(共和党、サウスカロライナ州)が主導した対ロシア・イラン制裁法案を可決外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同法案はロシアによるウクライナ侵攻を受けた制裁強化策として審議されてきたもので、ロシアおよびロシア産原油・天然ガスの主要輸入国に対しても追加関税を課す権限を大統領に付与することで、ロシアの戦費調達能力を低下させることを狙う。上院は8月7日付で既に可決しており、近く、ドナルド・トランプ大統領の署名をもって成立する見通しだ。

法案で定められた主な内容は次のとおり。

〇ロシアからの全ての輸入に対して、最大500%の関税を課す。

〇次の国からの全ての輸入に対して、最大100%の関税を課す。

(1)法案の成立から30日以降にロシア産原油または天然ガスを故意に新たに購入し、かつ、法案成立日からさかのぼって直近12カ月間にロシア産原油または天然ガスの輸入量が大きい上位5カ国。または、(2)法案成立日からさかのぼって直近12カ月間にロシア産石油に対する制裁回避を助長した上位5カ国。(3)ただし、法案成立日からさかのぼって直近12カ月間のロシア産天然ガスの総輸入量が、ロシアの天然ガス総輸出量の15%未満であり、当該国がロシア産天然ガスの輸入を削減するための実質的な措置を講じている場合、関税を課さない。

〇いずれの関税も、既存のその他の関税率に上乗せして課す。

〇いずれの措置も、法案成立から30日以内に実施。

米国の通商政策に詳しい法律事務所によれば、ロシア産原油の輸入量が大きい国は、中国、インド、スロバキアなどが該当する。天然ガスの輸入では、中国、フランス、日本などが該当するが、中国以外は関税の適用対象から除外される見込みだという(注1)。また、制裁回避の具体例として、法案では制裁の対象となっているロシア産原油の購入、積載、輸送に対して資金援助をすること、原油輸出の制裁を回避するために運用される「シャドーフリート(注2)」に関する取引、活動、サービスに従事すること、などを定めている。大統領または米国通商代表(USTR)は、関税を賦課する10日前までに、関税率や賦課する国の判断基準などについて連邦議会に報告しなければならない。

今回の法案の可決に際し、下院で通商を所管する歳入委員会のジェイソン・スミス委員長(共和党、ミズーリ州)は、「トランプ大統領が関税を効果的に活用し、米国の国益を支持するよう他国に圧力をかけることができることを証明した」とする声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。一方で、同委の筆頭理事であるリチャード・ニール議員(民主党、マサチューセッツ州)は、「議会は、トランプ氏が既に有する関税権限がこれまでにいかに乱用されてきたかにもかかわらず、新たに同氏に、広範な関税権限を与えてしまった。私はロシアに責任を問うこと、そしてウクライナを支援することを強く支持するが、この大統領に、米国民にさらなる負担を強いるための新たな手段を与えることは、間違っている」との声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。

なお、同法案には、イランに対する制裁法の期限を2031年末まで延長する規定も含まれる。

(注1)ジェトロに対するメールでの報告(9月17日)。

(注2)制裁を回避してロシア産原油を輸送するために利用されるタンカー船団。

(赤平大寿)

(米国、ロシア、イラン)

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