EU首脳、次期MFF案で進展なく、欧州委は新たな経済安全保障措置を提案へ
(EU、中国)
ブリュッセル発
2026年10月23日
欧州理事会(EU首脳会議)は10月15~16日、ブリュッセルで定例会合を開催した(プレスリリース
)。今回の会合では、2028年から2034年までの次期中期予算計画(MFF)、エネルギー価格対策、ウクライナ支援などが議論されたが、いずれも具体的な進展はみられなかった。
欧州委員会が大幅な予算増を提案する次期MFF案(2025年7月22日記事参照)については、依然として膠着(こうちゃく)状態が続いている。2027年にはフランス大統領選挙やイタリア総選挙などが予定されていることから、アントニオ・コスタ欧州理事会常任議長は、2026年末までの加盟国間での合意を目指している。
EUに支払う金額の方が受け取る金額より多いドイツ、オランダ、北欧諸国などの純拠出国が、競争力強化策への重点配分を求め、予算全体の大幅な増額に反対する一方で、EUから受ける金額の方が多い東欧・南欧諸国は共通農業政策(CAP)や地域格差是正策である結束政策の予算維持を主張している。次期MFF案の採択には全会一致での合意が必要となるが、現地報道によると、今回の会合でも両陣営は従来の主張に終始し、合意に向けた妥協の糸口が見いだせていない。2026年内最後となる12月の定例会合まで時間が限られることから、コスタ常任議長は11月26~27日に特別会合を開催することを表明した。
欧州委、調達先の多角化法案と単一市場アクセス制限法案を提案へ
欧州委のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は会合後の記者会見で、今後の経済安全保障政策の方針を明らかにした。欧州理事会の総括では、中国を名指しなかったものの、「世界的なマクロ経済的不均衡」への対策として、対話を継続し、既存の貿易防衛措置を活用する一方で、新たな措置を緊急に策定するよう欧州委に求めた。また、フォン・デア・ライエン委員長は、第2回EU中国貿易投資協議(2026年10月14日記事参照)の成果を挙げつつ、特定国・特定企業への過度な依存を減らし、企業のサプライチェーンの多角化を促す「DiversifyEU」(2026年6月25日記事参照)を12月に提案すると明言した。また、EU加盟国が域外国による威圧や報復措置の対象となった場合の対応を定める「連帯メカニズム」を提案するとともに、第三国による市場歪曲(わいきょく)への対抗措置として、EU単一市場へのアクセス制限を迅速に発動できる新たな法案を策定する方針を示した。
(吉沼啓介)
(EU、中国)
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