EU首脳、中国を念頭に調達先の多角化措置の策定を欧州委に指示
(EU、中国)
ブリュッセル発
2026年06月25日
欧州理事会(EU首脳会議)は6月18~19日、ブリュッセルで公式会合を開催した(プレスリリース
)。議題は、ウクライナ支援、中東情勢、競争力強化など多岐にわたったが、中心となったのは中国政策と2028年からの次期中期予算計画(MFF)だ。
欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は会合後の記者会見で、中国との建設的対話を続ける一方で、多角化措置に関する法案を提案する方針を明らかにした。法案は、欧州理事会の要請を受けたものであり、総括には盛り込まれなかったものの、重要物資について複数の調達先の確保を企業に義務付ける内容になるとみられる。
フォン・デア・ライエン委員長は、法案は特定の域外国を対象にしたものではないとしつつ、中国からの輸入は過去5年で45%増加し、2025年には貿易赤字が3,600億ユーロに達し、過去最大に次ぐ高水準となったと指摘。問題は単に安価な中国製品が流入しているということではなく、過剰生産によりEU域内の製造業の競争力が侵食されている点にあるとの認識を示した。さらに、デカップリングではなくデリスキング(リスク軽減)に取り組むとの対中政策が2023年に採択されたにも関わらず(2023年7月4日記事参照)、企業のデリスキング対策の進捗が十分でないとして、法案の必要性を強調した。
政治専門紙ポリティコは、加盟国間で通商防衛策の強化に向けた新たな措置が必要だとの認識が広がっていると報じている。これまで中国による対抗措置を懸念し強硬策に消極的だったドイツも規制強化支持の方向に傾いているとされる。
次期MFF、制度改革で合意も予算額の交渉は道半ば
フォン・デア・ライエン委員長は、欧州競争力基金や国家・地域パートナーシップ計画といった次期MFFの制度改革(2025年7月22日記事参照)に関し合意に達したと強調した。ただし、肝心の予算額については、合意から程遠いのが現状だ。
議長国を務めるキプロスは、現行MFFから大幅増となる欧州委案を踏まえつつ、これから2%減額した予算案を交渉用のたたき台として提示した。ポリティコによると、EUからの補助金が供出額を上回る南欧・東欧の純受益国は、共通農業政策(CAP)や結束政策の予算維持を評価し支持する一方、西欧・北欧の純拠出国は、予算規模が依然として大きすぎる上に戦略分野への投資予算が削減されているとして反発している。
2027年4月のフランス大統領選の結果次第では合意形成が一層困難になる可能性があることから、欧州理事会は年内の政治合意を目指している。
(吉沼啓介)
(EU、中国)
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