欧州会計検査院、リパワーEUの進捗を評価、実施強化に向けNECP改善など提言
(EU)
ブリュッセル発
2026年10月08日
欧州会計検査院(ECA)は9月10日、ロシア産化石燃料依存からの脱却を目的とする「リパワーEU」計画(2022年9月1日付地域・分析レポート参照)の進捗に関する評価報告書を発表した(プレスリリース
)。
リパワーEUの実施に当たっては、加盟国の国家エネルギー・気候計画(NECP)(2025年6月13日記事参照)などを主要な手段としているが、最終版のNECPでは目標達成には不十分とした。また、欧州委員会は目標達成のために2030年までに約3,000億ユーロの追加投資が必要と試算していたものの、加盟国が計画で示した拠出額は543億ユーロにとどまり、必要額との乖離を指摘した。
EUのロシア産原油の輸入量は、2021年の1億1,245万トンから2024年に1,171万トンに減少した(添付資料表参照)。EUは、ロシア産原油の海上輸送による輸入を原則禁止(2022年10月7日記事参照)しているが、依然として第三国(トルコ、中国、インドなど)を経由した間接輸入の実態については把握できておらず、関連するデータも存在しないとしている。ロシア産天然ガス〔パイプライン経由と液化天然ガス(LNG)〕の輸入量は、2021年の1,532億立方メートルから2024年に378億立方メートルへ減少。ドイツなどが輸入削減を進める一方で、フランスなど一部加盟国は依然として相当量のガスを輸入している。また、そのうちLNG輸入量は、2021年から2024年にかけて67%増加しており、ベルギーなど5カ国では、2024年の輸入量が2021年を上回った。EUは2025年に、2027年11月までにロシア産ガス輸入を全面的に廃止する方針で合意(2025年12月5日記事参照)するまで、ガス輸入に対する包括的な禁止措置は講じていなかった(注)。
報告書は、ロシア産化石燃料の輸入減少は、リパワーEUの効果だけでなく、暖冬による需要減少や、エネルギー価格高騰に伴う消費抑制などの要因が影響した可能性を指摘し、リパワーEUの実施強化に向け次の提言を行った。
- NECPにおいて、具体的な施策、達成目標および必要投資額を明確に示す。
- 加盟国は予算および資金に関する情報を毎年欧州委に報告する。
- 再生可能エネルギー導入や送電網整備について、実現可能な計画と十分な資金を確保し、EU資金を効果的に活用する。
- 送電網相互接続などの国境を越えたインフラ整備について対象事業、加盟国ごとの目標、投資手法を明確化する。
- リパワーEUの進捗状況や成果を客観的に測定できる評価指標を策定する。
(注)ただし、2025年3月以降、EU域内で第三国向けにロシア産LNGを積み替えることは禁止されていた(2024年6月26日記事参照)。
(大中登紀子)
(EU)
ビジネス短信 5b1683ff10697e4d





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