米USTR、EUの炭素国境調整メカニズム(CBAM)が貿易に与える影響についてパブリックコメント募集

(米国、EU)

ニューヨーク発

2026年10月08日

米国通商代表部(USTR)は10月7日、EUの炭素国境調整メカニズム(CBAM)が米国の貿易に及ぼす影響に関して、パブリックコメントを募集すると発表した。正式には10月8日付の官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで公示する。提出されたパブリックコメントは、今後のEUとのCBAMに関する協議に活用する。

CBAMは、EU域内で生産される、鉄鋼、アルミニウムなどの対象製品にEU排出量取引制度(EU ETS)を通じて課される炭素価格と同等の負担を、域外から輸入される対象製品(注1)にも課徴金として求める制度で、2026年1月から本格適用されている。また、2028年1月から、鉄鋼やアルミニウムなど対象製品を使用する180の川下製品(注2)を新たにCBAMの対象に追加する案が、欧州委員会より2025年12月に発表された。

USTRは今回、CBAMとその適用範囲の拡大が米EU間の貿易に与える影響についてパブリックコメントを募集し、今後のCBAMをめぐるUSTRとEUとの協議の参考とする。USTRがパブリックコメントで求める具体的な内容は次のとおり。

  • CBAMが米国の生産者、労働者、輸出などに及ぼしているコスト、規制上の負担、EU市場へのアクセスの影響
  • CBAMの適用範囲拡大提案が、米国の生産者、労働者、輸出などに及ぼす可能性のあるコスト、手続き、EU市場へのアクセスの影響
  • CBAMおよび適用範囲拡大提案が、EU企業や第三国企業と比較して、米国企業に与える影響
  • CBAMによる悪影響を是正するための適切な執行措置

USTRはこうした意見によって、CBAMが、貿易障壁となっているか、EU市場における機会を制限しているか、EU企業に優位性をもたらしているか否か、といった点を特定できるようになり、EU市場での課題や懸念事項、CBAMの見直しに関する提案などの把握につながるとしている。パブリックコメントは連邦政府のポータルサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(案件番号USTR-2026-0661)から提出でき、締め切りは官報での公示から30日後となっている。

米国はEUのCBAMに対して従来から批判的な立場をとっている。USTRが3月に発表した2026年版の「外国貿易障壁報告書(NTE)」では、CBAMについて、詳細な規則が2025年12月中旬まで公表されなかった点、第三者検証機関が不足している点などを挙げて批判していた(2026年4月9日記事参照)。また、米国のアンドリュー・パズダー駐EU大使は、フィナンシャル・タイムズ紙(8月12日)に対して、「EUはCBAMを、鉄鋼およびアルミニウムの含有量に基づいた気候変動対策と呼んでいるが、名称が異なっても関税であることに変わりはない」(注3)との論考を寄稿している。

(注1)CBAMの対象製品は、鉄鋼、アルミニウム、セメント、肥料、水素、電力の6分野。CBAMの詳細は、2026年9月18日付地域・分析レポートやジェトロの解説レポート参照。

(注2)主に、重機の部品を固定する金属製の金具、産業用放熱器、鋳造機械などの産業用機器。

(注3)気候変動対策と産業保護の両方の側面を有するとして議論される政策について、「グリーン保護主義」との表現が用いられることがある。

(赤平大寿)

(米国、EU)

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