米商務省、韓国との戦略的投資覚書に基づく投資計画を発表
(米国、韓国)
ニューヨーク発
2026年10月02日
米国商務省は9月30日、韓国との戦略的投資覚書に基づく、戦略投資プロジェクト「プロジェクト・スター」、米韓原子力発電所プロジェクト「プロジェクト・パワー」、およびアラスカ液化天然ガス(LNG)プロジェクト「プロジェクト・ノース」の計画を発表
した。人工知能(AI)や戦略産業に必要な電力の安定供給を拡大し、重要なサプライチェーンを強化するとともに、米韓両国のエネルギーや経済・国家安全保障の向上を図る。
今回の発表は、2025年7月の関税合意(2025年8月5日記事参照)と、11月の戦略的投資に関する了解覚書(MOU、2025年11月18日記事参照)に基づく。MOUでは、韓国が総額3,500億ドルを対米投資に充て、このうち1,500億ドルを造船分野、2,000億ドルをその他の分野に投資することとしている(注)。今回の発表によれば、テキサス州に天然ガス火力発電施設を建設するプロジェクト・スターには223億ドル、米国内で原子力発電所8基を建設するプロジェクト・パワーには1,200億ドル、それぞれ投資する予定だ。プロジェクト・ノースの投資額は現時点で公表していないものの、これらのプロジェクトは、造船分野以外に投資する2,000億ドルの対米投資案件の中核を成すとみられる。
プロジェクト・パワーでの原子力発電所建設は、2025年5月に大統領令
で掲げられた「大型原子炉10基を2030年までに建設段階へ移行させる」との目標達成に向けた取り組みの一環で、米商務省、米エネルギー省、韓国政府、ウェスチングハウス・エレクトリック・カンパニー(WEC)、韓国電力公社、韓国水力原子力が参画する。両国は、長納期機器の先行調達を主な目的として、2026年末までに100億ドルの前払いに協力することで合意した。また、大型原子力発電プロジェクトから生じる商業的利益の共有を促進することを目的に、WECへの重要少数株式投資も検討する。詳細な条件は今後、交渉を通じて最終決定する。
プロジェクト・ノースでは、アラスカ北部の天然ガスを州南部へ輸送する大規模パイプラインを建設し、韓国や日本などアジア諸国向け輸出を促進するLNGターミナルを整備する。両国は、MOUに基づく商業的合理性の基準と、それぞれの国内法上の要件を満たすことを条件に、プロジェクト・ノースに関する作業を開始することで合意した。米国は、韓国が採算性のある価格で長期引き取り契約を締結できるよう後押しし、アラスカ産LNGへの優先的なアクセス権を韓国に提供する意向を示した。
ただし、政治専門紙「ポリティコ」(10月1日)によれば、韓国側はプロジェクト・ノースへの投資は依然として審査中だとした。原子力発電所の建設予定地や投資条件が未定であることからも、同紙は、米政府による今回の発表について、中間選挙の接戦州で大型投資案件をアピールする狙いがあるとの見方を示した。
(注)一方、米国は、1962年通商拡大法232条に基づく韓国製自動車・同部品の追加関税を25%から15%に引き下げることなどで合意した(2026年8月17日付地域・分析レポート参照)。
(清野華蓮)
(米国、韓国)
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