韓国の米国関税、相互関税15%・自動車15%で合意
(韓国、米国)
ソウル発
2025年08月05日
韓国の大統領室は7月31日、記者ブリーフィングを開き、米国との関税交渉の結果を報告した。
まず、米国が韓国に8月1日から課すと予告した相互関税25%(2025年7月8日記事参照)が15%に引き下げられる。また、韓国の主力輸出品目である自動車に対する関税も25%から15%に引き下げられる。さらに、今後賦課されることが予告された半導体、医薬品に対する関税についても、他の国に比べて不利でない待遇を受ける(最恵国待遇)予定であることも述べられた。
米国との交渉には、具潤哲(ク・ユンチョル)経済副総理兼企画財政部長官、金正官(キム・ジョングァン)産業通商資源部長官、呂翰九(ヨ・ハング)通商交渉本部長が参加した。
大統領室は今回の合意で最も注目すべき点として、造船業分野における協力の拡大を挙げた。1,500億ドルの韓米造船協力ファンドを立ち上げ、船舶建造、MRO(メンテナンス、修理、管理)、造船機材など造船業全般を包括し、韓国企業の需要に基づく具体的なプロジェクトに投資する予定だ。また、造船分野以外にも、半導体、原子力発電、二次電池、バイオなど、韓国企業が競争力を有する分野への対米投資ファンドも2,000億ドル造成される。大統領室は「同ファンドの投資分野を考慮すれば、韓国企業が戦略的パートナーとして参加する可能性が非常に高い。これは米国進出に関心がある韓国企業にとって良い機会になる」と期待を表明した。また、日本の投資ファンド規模5,500億ドルとの比較についても触れ、「対米貿易黒字は、韓国は660億ドル、日本は685ドルと同水準だが、われわれは日本より小さい規模の投資ファンドを造成することになった」「韓国企業が主導する造船ファンド1,500億ドルを除けば、われわれのファンド規模は2,000億ドルで、日本の36%に過ぎない」と、日本よりも少ない投資規模で同水準の関税率で合意したことを成果としてアピールした。
かねて国内産業保護の観点から慎重になっていた農畜産物市場開放については、米国から強い要求があったものの、食料安全保障と韓国農業界の懸念を考慮し、コメと牛肉市場を追加開放しないことで合意したと述べた。
産業通商資源部も同日に交渉結果について発表した。大統領室が発表した内容のほか、米国産自動車の安全基準との同等性を認めるなど、米国の貿易障壁報告書(NTE)に示された非関税障壁の一部を緩和していくことや、今後4年間にわたり米国産エネルギーを1,000億ドル購入することで合意したことなども示した。同部は「日本やEUなどの主要競争国が関税協議を妥結していただけに、8月1日以降、韓国の競争力低下が懸念されていた。このような中、わが国も同等の条件で輸出が可能となったことで、不確実性が大きく解消された点に大きな意義がある」と述べている。
聯合ニュース(7月31日)は大統領室の発表内容とともに、「ドナルド・トランプ大統領が言及した韓米首脳会談については、今後、外交ラインを通じて速やかに日程を協議する予定」と報じた。
李在明(イ・ジェミョン)大統領も、自身のSNSを通じて「これにより韓米間の産業協力がさらに強化され、韓米同盟もより堅固になる契機となることを期待する」と述べ、「今後も政府は国益を重視した現実的な外交を常に最優先原則とする」と交渉結果を総括した。
(橋爪直輝)
(韓国、米国)
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