LNGカナダ、第2期拡張の最終投資決定を達成、生産能力を倍増へ
(カナダ、日本、英国、マレーシア、中国、韓国、米国)
調査部米州課
2026年09月30日
カナダ西部ブリティッシュ・コロンビア(BC)州キティマットで液化天然ガス(LNG)事業を展開するLNGカナダは9月28日、第2期拡張計画について、事業パートナー5社が最終投資決定(FID)を行ったと発表
した。今回の拡張ではLNG生産設備を2系列追加し、同事業の年間LNG生産能力を現在の1,400万トンから2,800万トンへ倍増させる。商業運転の開始は2030年代初頭を予定している。
BC州では、州東部ドーソンクリーク周辺で開発・生産されたシェールガスを、全長約670キロメートルのパイプライン「コースタル・ガスリンク」を通じて、州西部キティマットのLNG輸出設備へ輸送するバリューチェーンが構築されている。LNGカナダはキティマットの設備を運営しており、英国のシェルが40%、マレーシアのペトロナスが25%、中国石油天然気(ペトロチャイナ)と三菱商事がそれぞれ15%、韓国ガス公社(KOGAS)が5%を出資する。
カナダ初の大型LNG輸出事業として、LNGカナダの第1期のFIDは2018年10月に行われ(2018年10月9日記事参照)、2025年6月にLNGの生産・輸出を開始した。第2期では、当初から4系列への拡張を想定して設計された既存施設を活用する。日揮ホールディングスによれば、建設は子会社の日揮グローバルと米国フルア・コーポレーションが共同で担い、受注額は約75億ドルとなる。両社は第1期でも建設を担った。
また、パイプラインを運営するTCエナジーは9月29日、ガス圧縮施設の新設や既存設備の更新などを含むパイプライン拡張計画を進めると発表
した。TCエナジーは同計画について条件付きでFIDを承認しており、LNGカナダのFIDにより計画実施の条件が満たされたかたちだ。
「エネルギー超大国」の実現に向けて、カナダ政府はエネルギー輸出先の多角化を進めている。特にカナダ西部は、日本をはじめとするアジアの主要なエネルギー需要地までの航行距離が比較的短く、海上輸送上のチョークポイントが比較的少ないという地理的優位性から、エネルギーの代替調達先として期待が高まっている。天然ガスに加え原油の輸出拡大にも取り組んでおり、日本によるカナダ産原油の輸入(2026年8月13日記事参照)や、輸出先多角化を目的としたパイプライン拡張計画(2026年7月6日記事参照)などが進められている。
三菱商事は、今回の拡張計画を通じて、日本を含む世界のエネルギー安定供給に貢献するとともに、低・脱炭素社会への移行に必要なエネルギーの供給拡大を進めるとした。また、マーク・カーニー首相は声明で、「温室効果ガスの排出量が極めて少ないLNGを、アジアの新たな市場へ輸出する。国内の力を強化し、海外で新たな貿易相手を確保することで、主要プロジェクトへのかつてない規模の新規投資を呼び込む」と述べた。
(木村勇翔)
(カナダ、日本、英国、マレーシア、中国、韓国、米国)
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