カナダ、アルバータ州と太平洋沿岸を結ぶ原油パイプラインの新設を発表

(カナダ、日本)

調査部米州課

2026年07月06日

カナダのマーク・カーニー首相は7月2日、アルバータ州と太平洋沿岸を結ぶ新たな原油パイプラインを敷設する計画を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。新設するパイプラインは日量100万バレルの原油を輸送できる見込みで、カーニー政権が掲げる「エネルギー超大国」の実現に向けて、カナダの原油輸出拡大に貢献する。

カーニー氏は同日、アルバータ州カルガリーを訪問し、ダニエル・スミス州首相と会談した。今回の計画は、2025年11月に連邦政府とアルバータ州政府の間で締結された覚書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますと、2026年5月に締結された実施協定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに基づくものだ。

カナダエネルギー規制庁(CER)によれば、州境や国境を越えて接続される原油パイプライン15本のうち、アルバータ州と太平洋沿岸を結ぶものは、1953年に操業を開始した「トランス・マウンテン・パイプライン」がある。今回発表された新設するパイプラインは、同パイプラインのルートに沿って敷設され、ブリティッシュ・コロンビア(BC)州南部沿岸に接続される予定だ。当初はBC州北部沿岸への接続も検討されていたが、複数の先住民族による反対や環境保護上の観点(注1)から取りやめた。

建設費用は現時点で公表されていないが、民間企業のペンビナ・パイプラインが一部を出資し、残りを連邦政府と州政府から出資するほか、政府系企業のトランス・マウンテンが設計・建設を主導する。同計画は主要プロジェクト局(MPO、注2)に付託され、カナダ建設法(2025年7月7日記事参照)の適用に向けた手続きが進められる。同法の適用により、厳格な環境審査の基準を維持しつつ、先住民の権利を十分に尊重しながら、連邦政府による簡素化・迅速化された許認可手続きを利用できる。

スミス氏はメディアへの出演で、同計画について10月1日までにMPOによる承認を受け、2027年9月までに最終的な許認可を取得して建設に着手する見通しを示した。また、日本を含む関心を示しているアジアの国・地域との協議を進めていく考えも明らかにした(「CBCニュース」7月3日)。

カナダ政府は、太平洋沿岸へ接続する新たな原油パイプラインを通じて、「安定的で信頼できるエネルギー供給源」としての位置付けを確立し、アジアを含むエネルギー輸出先の多角化を進める方針を示している。また同発表では、アルバータ州北部において、二酸化炭素回収・貯留(CCS)の「パスウェイズ・プロジェクト」を推進することで合意された。カナダを「エネルギー超大国」とする連邦政府の目標の実現に加え、気候変動対策との両立を図る取り組みとなる。

(注1)BC州北部沿岸には、1万2,500トン以上の原油や重油を積んだタンカーの航行・寄港を、環境保護の観点から禁止する「石油タンカー航行禁止法(Oil Tanker Moratorium Act)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」が適用されている。なお、2024年に完了したトランス・マウンテン・パイプラインの拡張計画外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにおいても、環境への影響が懸念され、連邦政府が同計画を買収した上で環境調査などを実施し、最終的に計画が承認された経緯がある(2018年6月1日記事2019年6月19日記事参照)。

(注2)MPOは、重要インフラや資源開発などの主要プロジェクトについて、関係機関との調整や規制手続きの効率化を通じて迅速な推進を図る連邦政府の専門機関。主要プロジェクトの審査を2年以内に完了できるよう、規制プロセスの改革を進めている。

(木村勇翔)

(カナダ、日本)

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