香港知識産権署、知財取引センター構想に向け税額控除や人材育成を推進

(香港)

香港発

2026年09月30日

9月16日に行われた香港特別行政区(以下、香港)の李家超(ジョン・リー)行政長官の施政方針演説外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを受け、香港知識産権署(IPD)は同日、原授標準専利(OGP)制度(2019年12月23日記事参照)の審査能力の強化や登録手続きの効率化と利便性向上に加え、知財評価・金融の促進、知財取引コストの削減、知財管理と商業化に精通した人材育成にも力を入れ、地域の知的財産権取引センターとしての基盤を強化する方針を示した。

施政方針演説では、香港5カ年規画(2026年9月30日記事参照)の実現に向けた具体的施策や政策目標が示された。知財分野では、知的財産(IP)融資サンドボックス(2025年12月25日記事参照)の活用拡大、2026年第4四半期中に設立される「IPアカデミー」を通じた知財リテラシーの向上、知的財産権またはその使用許諾の取得に係る資本支出を税額控除とする措置などが盛り込まれた。また、広東・香港・マカオグレーターベイエリア(粤港澳大湾区:GBA)では、ルール・制度の整合やGBA仲裁モデル規則の検討など、法務・専門サービスの連携強化も打ち出した。

施政方針演説に併せて示された2026年の政策目標は284項目で、知財取引センター構想に関連する主な目標は次のとおり(かっこ内の数字は政策目標の番号)。

  • (51)2027年に主要技術分野におけるOGP制度の出願促進に向けた試行的支援措置を開始する。
  • (52)2030年までに主要技術分野について実体審査を自律的に実施するための体制の確立を目指す。
  • (53)知的財産取引発展戦略委員会を設立し、2027年前半に初会合を開催する。
  • (54)香港の特許代理サービス(弁理士制度)の整備に向けた意見募集(パブリックコンサルテーション)を2026年中に実施する。
  • (55)知的財産権またはその使用許諾の取得に係る資本支出に対する税額控除制度を導入する法案(注)を2026年中に立法会へ提出する。

また、GBAにおける連携強化に関しては、次のような政策目標が掲げられている。

  • (74)広東省およびマカオとのルール・制度の整合を加速するための特別作業班を2027年第1四半期に設置する。
  • (75)2026年から2027年にかけて、広東省司法庁およびマカオ行政法務司と連携し、GBA仲裁モデル規則の構築に向けた検討を行う。
  • (76)海外展開を目指すGBA企業のため、香港の法律および専門サービスとの連携強化に向けた交流イベントを2026~2027年に前海で開催する。

(注)香港では既に知的財産権の取得費用などに関する税額控除制度が存在するが、その対象を関連会社取引やライセンス契約時の初期一時金(upfront license fees)、海外で利用する知財にも拡大することが検討されている。

(南川泰裕)

(香港)

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