グリア米USTR代表、米・カナダ貿易交渉決裂を巡るカナダ側の主張に反論

(カナダ、米国)

調査部米州課

2026年08月28日

米国通商代表部(USTR)のジェミソン・グリア代表は8月26日、カナダ公共放送CBCのインタビュー(8月26日)で、8月21日に決裂した米・カナダの貿易交渉(2026年8月24日記事参照)について、カナダ側が主張する「交渉終盤での米国の合意案修正」が交渉決裂の原因ではないと反論した。また、「現時点でカナダと開かれた交渉チャンネルは存在しない」と述べ、米・カナダの対立が長期化する可能性を示唆した。

米国とカナダは、1930年関税法338条に基づく追加関税の発動回避を目的に貿易交渉を行った(2026年8月14日記事参照)。しかし、米国は8月22日、338条に基づく対カナダ追加関税を発動し(2026年8月24日記事参照)、カナダは8月25日、9月8日から発動予定の対抗関税の内容を発表した(2026年8月26日記事2026年8月27日記事参照)。

米国とカナダは、当初の交渉期限(8月18日)時点で暫定合意に達したとみられた(2026年8月19日記事参照)。しかしグリア氏は、交渉期限の延長後、カナダが追加の要望を提示し、その中には米国として「到底受け入れられない」内容が含まれていたとしたが、詳細は明らかにしなかった。一方で、米国が交渉終盤に新たな条件(注1)を提示したとするカナダ側の主張について、グリア氏は否定し、「第三国との貿易協定を制限する条項は存在しなかった」としたほか、フランス語などの言語・文化に関する措置は「米国側の重要な交渉条件ではなかった」とした(注2)。その上で、カナダ側が合意の履行方法に懸念を抱いたことが交渉決裂につながったとの認識を示した。

またグリア氏は、仮に合意が成立していれば、米国の対カナダ追加関税について、自動車を25%から15%(場合によっては7%)、鉄鋼・アルミニウムを50%から25%、鉄鋼・アルミ派生品を25%から10%へ、それぞれ引き下げる可能性があったことを明らかにした。

(注1)マーク・カーニー首相は8月22日の記者会見外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、米国が土壇場で修正した合意条件の具体例として、(1)自動車分野の関税措置について、関税引き下げの対象を乗用車・小型トラックに限定し、中・大型トラックを含めないこと、(2)第三国・地域との貿易協定を制限する措置を設けようとしたこと、(3)英語とフランス語の二言語主義や多文化主義、カナダの主権を守る姿勢に反する要求が含まれたこと、を挙げた。

(注2)2023年4月にカナダで成立したオンライン・ストリーミング法に基づき、カナダ・ラジオテレビ通信委員会(CRTC)は2024年6月、オンライン・ストリーミング事業者に対して国内収益の5%をカナダ政府に拠出することを義務付けた。フランス語コンテンツや先住民コンテンツなどの支援を目的としており、米国はかねて拠出義務を問題視していた(2026年4月27日記事参照)。また、カナダが消費者包装・ラベリング法に基づき、商品のラベルに英語とフランス語の両言語で表記することを義務付けていることも問題視したとされる。ドミニク・ルブラン・カナダ-米国貿易・州政府間関係・国内貿易・ワンカナダ経済担当相は8月27日、米国がこれらの要求を「撤回」することを歓迎すると、自身のSNSに投稿した。

(木村勇翔)

(カナダ、米国)

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