米国、ガボンをAGOA対象に復活、特恵待遇を遡及適用

(米国、ガボン、アフリカ)

ニューヨーク発

2026年05月21日

米国のドナルド・トランプ大統領は5月19日、ガボンに対するアフリカ成長機会法(AGOA)に基づく特恵待遇を復活すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。特恵待遇は、2026年1月1日以降に米国での消費を目的として輸入された貨物、または同様の目的で倉庫から出庫された貨物について、同日まで遡及(そきゅう)して適用される。

AGOAは、米国とサブサハラ地域間の貿易投資拡大や、同地域の持続可能な経済成長の促進などを目的に、サブサハラ産品の関税を免除する制度だ。同地域49カ国のうち、市場経済、法の支配、国際的に認められた労働者の権利の保護といった受益要件を満たす国々が特恵待遇の対象となる。

ガボンは、バイデン政権下の2023年10月、中央アフリカ共和国、ニジェール、ウガンダと共に特恵待遇の対象から除外された(注1、2023年11月8日記事参照)。ジョー・バイデン前大統領はその理由として、政治的多元主義や法の支配の保護が進んでいないことを挙げていた(米通商専門誌「インサイドUSトレード」5月19日)。今回の発表においてトランプ大統領は、ガボン政府が一定の措置を講じたとし、同国が受益要件を満たすと判断したとしている。

制度の見直しに向けた動向にも注目

米国通商代表部(USTR)は例年、AGOA受益国の適格性に関する年次審査を実施している。2026年の実施時期はまだ発表されていないが、2023年以降は5月から7月にかけてパブリックコメントの募集や公聴会などが実施されている(注2)。

また、AGOAは2026年12月31日に期限を迎える予定だ。USTRのジェミソン・グリア代表は2026年4月、連邦議会下院歳入委員会での通商政策に関する公聴会で、「複数年の延長に向けて議会と協力する」と述べている(注3、2026年4月27日記事参照)。また産業界からも、USTRが4月28日から5月15日にかけて募集したパブリックコメント(2026年4月30日記事参照)を通じて、長期的な延長を求める声が上がっている(政治専門紙「ポリティコ」5月20日、注4)。こうした動きを踏まえ、年次審査とあわせた制度見直しの本格化が見込まれる。

(注1)特恵待遇が終了したのは2024年1月1日。

(注2)2025年は5月30日に年次審査の開始が発表され、同日から7月31日にかけてパブリックコメントの募集や公聴会などが実施された(2025年6月4日記事参照)。

(注3)AGOAは2025年9月30日に一時失効したものの、2026年2月に再承認する法案が成立し復活した。これに伴う特恵待遇は2025年9月30日にさかのぼって適用されたほか、適用要件の変更はない(2026年2月5日記事参照)。

(注4)このほか、所得水準などに基づき特恵待遇を失う時期を定める、いわゆる「卒業規定」の要件見直しなども提起されている。

(滝本慎一郎)

(米国、ガボン、アフリカ)

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