米国、アフリカ4カ国のAGOA特恵待遇を終了へ、バイデン大統領はAGOA再承認に支持表明

(米国、中央アフリカ共和国、ガボン、ニジェール、ウガンダ、モーリタニア、南アフリカ共和国、アフリカ)

ニューヨーク発

2023年11月08日

米国のジョー・バイデン大統領は10月30日、中央アフリカ共和国、ガボン、ニジェール、ウガンダの4カ国に対するアフリカ成長機会法(AGOA)に基づく特恵待遇を2024年1月1日に終了させると連邦議会に通知外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。いずれの国もAGOAの資格要件を満たしていないと判断した。一方、米国通商代表部(USTR)は10月31日、大統領がモーリタニアに対するAGOA特恵待遇の復活を決定したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。2024年1月1日から有効となる。

AGOAは2000年に成立した法律で、米国がアフリカ・サブサハラ諸国の発展に関与すべく、特定の条件を満たす国からの輸入に対し、無関税の特恵待遇を与えるもの。2023時点で対象国は35カ国に上る。AGOAは特恵待遇を認める条件として、市場経済や法の支配、政治的な多元性、適正な法手続きの確立、米国の貿易・投資に対する障壁の撤廃、貧困削減、腐敗撲滅、人権保護に関する政策の実施などを設定している。大統領は、対象国がこれらの要件を満たしているか毎年評価し、条件を満たしていないと判断した場合、特恵待遇を終了させなければならない。

中央アフリカ共和国などの4カ国は今回、国際的に認知された人権の重大な侵害に関与したことや、政治的多元主義や法の支配を十分に保護していないことを理由にAGOA特恵待遇の対象外と判断された。一方、2019年にAGOA特恵待遇の対象外となったモーリタニアについては、労働者の権利保護や強制労働撤廃への取り組みが評価され、特恵待遇の復活が認められた。

AGOA対象国の見直しが発表された直後の2023年11月2~4日には、南アフリカ共和国で第20回米国・サブサハラ・アフリカ貿易経済協力フォーラム(AGOAフォーラム)が開催された。米国からはキャサリン・タイUSTR代表が率いる代表団が参加し、AGOA対象国との閣僚会合や2国間会談などを行った。USTRがフォーラム終了後に発表したプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、フォーラムの開催中、米国代表団はAGOAプログラムへのコミットメントを強調し、AGOAの更新に伴う現代化やAGOAの利用拡大などについて議論した。

AGOAは2025年9月末に失効予定となっている。バイデン大統領はAGOAフォーラム開催前の2023年11月1日、「AGOAの再承認を強く支持する」との声明を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。AGOAは20年以上にわたり米国とサブサハラ・アフリカ諸国との貿易の基盤となってきたと評価し、連邦議会にAGOAを適時に更新するよう促した。連邦議会でも、下院外交委員会の民主、共和両党の幹部が11月3日の声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、「AGOAの適時の再承認は、ビジネスに確実性を与え、アフリカの経済成長に対する米国の継続的な支持を示すために重要だ」と表明した。議会にはAGOAの資格要件の見直しを求める声もあり、失効前の更新の有無とともに議論の焦点となりそうだ。

(甲斐野裕之)

(米国、中央アフリカ共和国、ガボン、ニジェール、ウガンダ、モーリタニア、南アフリカ共和国、アフリカ)

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