トランプ米政権、米中合意を履行、輸出管理の「関連事業体ルール」や入港手数料徴収の停止を正式発表
(米国、中国)
ニューヨーク発
2025年11月11日
米国商務省産業安全保障局(BIS)は11月10日、輸出管理規則(EAR)上の「関連事業体ルール」の適用を、2026年11月9日まで停止する官報案
を発表した。11月12日に正式に官報に掲載するが、11月10日から効力を有する。これにより、米中合意で約束された米国側の措置は、おおむね履行されたことになる。
ドナルド・トランプ大統領と習近平国家主席は10月末に首脳会談を行い、両国の追加関税率の修正や輸出管理措置の一時停止などで合意した(2025年11月4日記事参照)。このうち、米国側の約束事項として、EAR上のエンティティー・リスト(EL)などに掲載される事業体が50%以上所有する事業体も輸出管理の対象とする「関連事業体ルール」(2025年9月30日記事参照)の1年間の停止が含まれていた。ただし官報案では、特段の延長がない限り、2026年11月10日からあらためて関連事業体ルールを施行することも定めた。
なおBISは11月10日、米大手電子部品ディストリビューター、アロー・エレクトロニクス傘下の、アロー・チャイナ・エレクトロニクス・トレーディングスと、アロー・エレクトロニクス(香港)の関連事業体6社をELから削除する官報案
も公表した(注)。同社などが、輸出コンプライアンス措置強化などを確約したためとしている。
そのほか、米中合意に関連して米国通商代表部(USTR)は11月9日、1974年通商法301条に基づく入港手数料の徴収などを11月10日から2026年11月9日まで停止すると正式に発表
した。USTRは11月6日から、入港手数料徴収停止に関するパブリックコメントを募集していた(2025年11月7日記事参照)。USTRの発表によると、パブリックコメントでは、輸送コストが低下し商業的混乱を回避できること、米国が中国と交渉する機会が得られること、米国の造船業への投資拡大を模索する時間が確保されることなどから、手数料の徴収停止を支持するコメントが複数寄せられた。
米中合意に関して、米国は国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づき中国に課している相互関税率と、合成麻薬フェンタニルなどの流入防止を目的に課している追加関税率を修正する大統領令を既に発表している(2025年11月6日記事参照)。米中合意で約束された米国側の措置のうち、残るのは301条に基づく対中追加関税の適用除外措置の延長のみとなる。適用除外措置は11月29日に失効予定となっている。
(注)アローなどは、イランの電子機器購入支援などを理由に、10月8日にELに追加
されていた。
(赤平大寿)
(米国、中国)
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