米USTR、301条入港料金の適用停止案を発表、自動車運搬船も対象に、11月10日までに正式決定へ

(米国、中国、日本、世界)

ニューヨーク発

2025年11月07日

米国通商代表部(USTR)は11月6日、1974年通商法301条に基づく入港料金措置などの適用を11月10日から1年間停止する修正案を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。11月6~7日にパブリックコメントを受け付けた上で、11月10日までに正式に決定し、発表するとみられる。

USTRは10月に中国の海事、物流、造船分野の政策や慣行への対抗を目的に、(1)中国企業が所有・運航する船舶、(2)中国で建造された船舶、(3)米国外で建造された自動車運搬船の米国入港に、サービス料金を徴収する措置を導入した(2025年10月14日記事参照)。しかし、同月末の米中首脳会談で、両国は追加関税や輸出管理措置の1年間の適用停止で合意するとともに、入港料金の徴収も1年間の適用停止で合意していた(2025年11月4日記事参照)。

USTRが今回公表した官報案PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、上記3種の船舶の米国入港に際するサービス料金のほか、中国製の港湾クレーンなど荷役設備(注)に対する100%の追加関税の徴収について、米国東部時間11月10日午前0時1分から2026年11月9日午後11時59分まで1年間停止する。なお、10月14日の適用開始から11月10日の適用停止までの期間に事業者が支払った入港料金や追加関税の還付に関する説明はない。

自動車運搬船の対象範囲には、中国で建造された船舶に限らず、米国外で建造された全ての船舶が含まれており、日本製の自動車の対米輸出を担う日本の船社や自動車メーカーへの影響が懸念されていた。今回の修正案が正式に決定され、適用が停止されれば、影響は一時的に軽減される見通しだ。

なお、米国政府はこれまでに、米中合意の履行の一環として、違法薬物の流入防止を目的とした対中追加関税(いわゆるフェンタニル関税)を20%から10%に引き下げるとともに、対中相互関税の一部の適用を1年間延期する大統領令を発令している(2025年11月6日記事参照)。今後は輸出管理の対象範囲拡大に関する「関連事業体ルール」の適用停止や、301条に基づく対中追加関税の製品別の適用除外措置の期間延長など、残る合意の履行が着実に実施されるかが注目される。

(注)対象品目や米国関税分類番号(HTSコード)は、船舶対陸上クレーン(STSクレーン、8426.19.00)、インターモーダルシャーシ(8716.39.0090)、インターモーダルシャーシ部品(8716.90.30、8716.90.50)。

(葛西泰介)

(米国、中国、日本、世界)

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