トランプ米大統領、対中相互関税とフェンタニル関税を修正する大統領令発表
(米国、中国)
ニューヨーク発
2025年11月06日
米国のドナルド・トランプ大統領は11月4日、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づき中国に課している相互関税率と、合成麻薬フェンタニルなどの流入防止を目的に課している追加関税率を修正する大統領令を発表した。
トランプ氏と習近平国家主席は10月30日に韓国で対面での首脳会談を行い、米国は中国に対する追加関税措置などを、中国は希土類(レアアース)などに対する輸出管理などを緩和することで合意していた(2025年11月4日記事参照)。
今回発表した相互関税率を修正する大統領令
ではあらためて、中国側が、(1)レアアースやそのほかの重要鉱物に対する輸出管理の延期・実質的な撤廃、(2)米国の半導体メーカーに対する報復措置の改善、(3)大豆、ソルガム、丸太など米国産農産物の購入、(4)米国産農産物に対する報復関税などの停止・撤廃、などに約束したと記した。
同様に、フェンタニル関税を修正する大統領令
では、特定の化学物質の北米向け出荷の停止、それ以外の特定の化学物質の全世界向け輸出の厳格な管理を含めた、米国へのフェンタニルの流入阻止のための措置を中国が履行すると記した。
これらにより米国は、中国に対する34%の相互関税を、米国東部時間2026年11月10日午前0時1分まで停止する。ただし、ベースライン関税の10%は引き続き適用する。中国原産品に対するIEEPAフェンタニル関税率は、米国東部時間2025年11月10日午前0時1分以降の通関より、現状の20%から10%に削減する。
ただし、相互関税については財務長官および通商代表部(USTR)代表が、フェンタニル関税については国土安全保障長官が、中国の約束の履行状況を監視し、仮に中国が履行していない場合、これら大統領令で定めた措置を修正できるとも規定した。
そのほか、米中首脳会談で合意された米国側の措置には、輸出管理規則(EAR)上のエンティティー・リストなどに掲載される事業体が50%以上所有する事業体も輸出管理の対象とする「関連事業体ルール」の適用停止、および1974年通商法301条に基づく中国船の入港に対する手数料徴収の停止がある。しかし、これら措置に関する官報などでの正式な発表は、11月5日時点でいまだ行われていない。輸出管理の所管省庁は商務省産業安全保障局(BIS)、301条に基づく措置はUSTRであり、いずれも、11月10日から1年間停止することが合意されている。さらに、米国は301条に基づく対中追加関税の適用除外措置を2026年11月10日まで延期することも約束している。
(赤平大寿)
(米国、中国)
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