9月の製造業PMI、6カ月連続で境界線を下回る

(中国)

調査部中国北アジア課

2025年10月07日

中国の国家統計局と物流購買連合会が9月30日に発表した同月の製造業購買担当者指数(PMI)は49.8となった。前月よりも0.4ポイント上昇し、2カ月連続で改善したものの、6カ月連続で50の境界線を下回った(添付資料図1参照)。なお、9月の非製造業のビジネス活動指数は前月より0.3ポイント低下の50.0となった。

国家統計局サービス業調査中心の霍麗慧首席統計師は同日、製造業PMIを構成する指数のうち、生産が前月より1.1ポイント上昇の51.9となり、ここ6カ月で最高水準になったと指摘した。新規受注も50は下回ったが、2カ月連続で改善の49.7となった。サプライヤー配送時間は0.3ポイント上昇の50.8、原材料在庫と就業人員はともに48.5だった。また、製造業PMI関連指数では、新規輸出受注が47.8、輸入が48.1で、それぞれ2カ月連続で改善した。若干の改善には、米中両国が7月末にスウェーデン・ストックホルムで実施した米中経済貿易協議に基づき、8月12日までとされてきた追加関税などの一部停止を90日間延長(11月10日まで)したことが要因の1つと考えられる(2025年7月30日記事2025年8月13日記事参照)。

企業規模別でみたPMIでは、大型企業、中型企業、小型企業でそれぞれ、51.0、48.8、48.2だった。大型企業では5カ月連続で50の境界線を越えているが、中型企業では2025年1月から、小型企業では2024年5月から一貫して境界線を下回っている(添付資料図2参照)。中国政府が、中小企業が90%以上を占めるとされる民営企業の支援を加速し(2025年6月30日付地域・分析レポート参照)、中小企業代金支払い保障条例を6月1日に施行するなど、中小企業の権益保護に努めている背景には、こうした状況がある(2025年6月16日記事参照)。

製造業、非製造業ともにマインドの改善が待たれる中、国家発展改革委員会の李超報道官は9月29日の同委員会記者会見で、新型政策性金融ツールの展開状況を説明した。実体経済への金融サービス向上と有効投資の拡大促進に向けて、5,000億元(約10兆5,000億元、1元=約21円)規模の同ツールを推進するとし、その全てをプロジェクト資本金の補充に用いるとした。国家発展改革委は関係各方面と協力し進めており、資金を具体的プロジェクトに迅速に投入し、各地方にプロジェクト着工・建設の加速を促し、安定的かつ健全な経済発展を促進するとしている。こうした政策の企業マインドにもたらす影響が注目される。

(宗金建志)

(中国)

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