米中経済貿易協議、追加関税や対抗措置の一部停止をさらに90日間延長
(中国、米国)
北京発
2025年07月30日
中国の何立峰副首相(中国共産党中央政治局委員)は7月28~29日(現地時間)、スウェーデン・ストックホルムで米国のスコット・ベッセント財務長官、ジェミソン・グリア通商代表部(USTR)代表と米中経済貿易協議を実施した。
中国国営新華社の7月30日付報道(中国政府ウェブサイトに転載)によると、会談での合意に基づき、双方は米国による中国に対する相互関税の24%部分の暫定停止と、中国による米国への対抗措置の暫定停止をそれぞれ90日間延長するとした(注)。また、双方は会談において、中国と米国の経済・貿易関係やマクロ経済政策など、双方が共通して関心を持つ問題について、率直かつ綿密で建設的な意見交換を行い、ジュネーブ合意(2025年5月13日記事参照)とロンドン合意(2025年6月13日記事参照)について履行状況を確認・評価したとしている。
新華社の報道によると、何副首相は会談で、中国と米国は6月5日の両国首脳による電話会談(2025年6月6日記事参照)における重要な合意を基に、相互尊重、平和共存、ウィンウィンの協力の原則を堅持し、互いの懸念事項を尊重し、合意を強固なものとし、相互信頼を深めるべきと述べた。また、米中両国の経済貿易関係に対する中国の立場は一貫しており、両国の経済貿易関係の本質は互恵ウィンウィンの関係であり、双方は経済貿易分野において広範な共通の利益と協力の余地を有し、両国が協力すれば双方に利があり、戦えばともに傷つくと指摘した。さらに、安定的で健全かつ持続可能な両国の経済貿易関係は、両国の発展目標の実現に資するだけでなく、世界経済の発展と安定の促進にも寄与するとした。
なお、新華社の報道によると、米国側は、安定した米中経済貿易関係は両国ならびに世界経済にとって重要な意義があるとしたうえで、米国は引き続き中国とともに米中経済貿易協議メカニズムを通じ経済貿易における相違点を解決し、より多くの成果を獲得し、米中経済貿易関係をさらに安定させることを望むと述べたとしている。
商務部国際貿易交渉代表を務める李成鋼・商務部副部長は会談後、メディアインタビューに応じ、「中国と米国の双方は、安定的で健全な経済貿易関係を維持することの重要性を十分に認識した。会談では、両国は互いのマクロ経済政策について包括的かつ踏み込んだ意見交換を行い、ジュネーブ合意とロンドン合意の履行状況を確認し十分な評価を行った。中国と米国の経済貿易チームは今後も緊密なコミュニケーションを保ち、経済・貿易の問題についてタイムリーな交流を行い、2国間の経済貿易関係の安定的かつ健全な発展を引き続き促進していく」と述べた(「中国新聞網」7月30日)。
(注)スイス・ジュネーブで5月12日に開催された米中経済貿易ハイレベル会談の共同声明で、中国側は税委会公告2025年第4号で定めた米国商品に対する追加関税34%のうち24%を5月14日から90日間停止し、残りの10%の関税は適用を継続するとしていた。また、同共同声明において、税委会公告2025年第5号と第6号による対米追加関税(計91%)は廃止された。なお、米国側は同共同声明において、中国に対して125%まで引き上げた相互関税率を当初の34%に戻し、その上で、24%の執行を90日間停止し、ベースライン関税の10%を適用していた(2025年5月13日記事参照)。
(亀山達也)
(中国、米国)
ビジネス短信 0708e32b65a3e681