米中経済貿易協議、TikTok問題の解決や投資障壁の削減などで枠組み合意

(中国、米国)

北京発

2025年09月18日

中国の何立峰副首相(中国共産党中央政治局委員)は9月14~15日(現地時間)、スペイン・マドリードで米国のスコット・ベッセント財務長官、ジェミソン・グリア通商代表部(USTR)代表と米中経済貿易協議を実施した。

中国国営新華社の16日付報道によると、米中双方は、両国首脳による電話会談(2025年6月6日記事参照)での合意を基に、双方の関心事項の経済貿易問題について意見交換を行った。意見交換では、TikTok(中国発の動画共有アプリ)関連問題の適切な解決や、投資障壁の削減、経済・貿易協力の促進などについて、協力的な方法で取り組むことに関し、基本的枠組みに合意した。また、双方が成果文書について協議を進め、それぞれの国内手続きを完了するとしている。

新華社の報道によると、何副首相は会談で、中国は国家利益と海外に展開する中国企業の合法的権益を断固として守るとした上で、TikTok問題について、中国は法律・法規に基づいて技術輸出の審査・許可を実施すると述べた。また、中国政府は中国企業の意向を尊重し、企業が市場原則にのっとり、協力パートナーと対等なビジネス交渉を行うことを支援すると表明した。加えて、米国が中国と歩み寄り、対中規制措置を早期に撤廃し、実際の行動をもって協議成果を保持し、米中経済貿易関係の安定維持のために良好な雰囲気を醸成することを望むとした。

TikTok問題について、商務部国際貿易交渉代表を務める李成鋼・商務部副部長は会談後の記者会見で「中国は一貫して、科学技術や経済貿易問題を政治化・道具化・武器化することに反対しており、原則的立場や企業の利益、国際的な公平性・正義を犠牲にして合意を求めることは決してない」と述べた。また、中国国家インターネット情報弁公室の王京涛副主任はメディアのインタビューに応じ、米中双方はTikTokの米国ユーザーデータ・コンテンツセキュリティー事業の運営委託、アルゴリズムなど知的財産権のライセンス供与といった方法を通じて問題解決を図ることで基本合意したと説明した。加えて、米国が合意内容に基づき、TikTokを含む中国企業が米国で継続的に事業を展開できるよう、開放的かつ公平・公正・無差別的なビジネス環境の提供を望むとした(「環球時報」9月17日)。

(張敏)

(中国、米国)

ビジネス短信 7c78f58e3a384840