現代自動車、米ジョージア州EV工場に27億ドル追加投資、ハイブリッド車生産も

(米国、韓国)

アトランタ発

2025年09月24日

韓国の現代自動車は9月18日、米国ニューヨークで開催された同社の投資家向けイベントにおいて、ジョージア州に建設した電気自動車(EV)組立工場、メタプラント・アメリカ(HMGMA)に27億ドルの追加投資を行い、生産能力を増強すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

現代は2022年、EV組立工場とバッテリー工場をブライアン郡に建設するために総額75億ドルの投資を発表し、EV組立工場は2025年3月に稼働した(2022年5月23日記事2025年4月1日記事参照)。今回の追加投資は、8月に同社が発表した260億ドルの米国における投資計画(2025年8月28日記事参照)の一部で、2028年までにHMGMAの生産能力を年間30万台から50万台へと引き上げるとしている(注1)。また、3,000人の新たな雇用創出も見込まれる。なお、同社は、2030年までに米国で販売する車両の80%以上を米国内で生産し、サプライチェーンの現地調達率を60%から80%に引き上げる計画だ。

HMGMAでは、ハイブリッド車とEVで合わせて10車種を生産するとしている。同社のホセ・ムニョス最高経営責任者(CEO)は、当初、HMGMAではEVのみを生産する計画だったが、現時点では、短期的にはハイブリッド車により大きな市場機会があると認識しており、HMGMAではハイブリッド車とEVを50%ずつ生産する方針を示した(「アトランタ・ジャーナル・コンスティテューション」電子版9月19日)。

米移民税関捜査局(ICE)などによる査察が9月4日、同社とLGエナジーソリューションがHMGMA隣接地に建設中のバッテリー工場に対し、実施された(2025年9月8日記事参照)。この査察により、韓国人約300人を含む475人の労働者が不法滞在の疑いで逮捕された。その後、米韓両政府の合意に基づき、逮捕された韓国人は本国へ移送された(2025年9月9日記事参照、注2)。こうした状況下においても、今回の発表は、同社がジョージア州への投資を継続・推進する姿勢を示すものといえる。

(注1)同社は2030年までに世界全体で120万台の生産能力増強を計画している。内訳は、HMGMAで50万台、インドのプネ工場で25万台、韓国蔚山(ウルサン)工場で20万台、そのほかサウジアラビア、ベトナム、アフリカ北部などで25万台を見込んでいる。

(注2)ドナルド・トランプ大統領は外国企業の不安払拭のため、自身のSNSで、巨額投資を行う外国企業が、専門知識を持つ人材を一定期間米国に派遣することとなり、それを歓迎する旨の投稿を行った。また、韓国人労働者の貢献に見合ったビザ発給を確実にするため、米韓両政府間で実務協議が進められている(2025年9月18日記事参照)。

(檀野浩規)

(米国、韓国)

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