9割近くの米国人は食料品価格の上昇が経済的ストレスの要因に、米世論調査

(米国)

ニューヨーク発

2025年08月08日

米国において、トランプ政権による関税政策に伴う物価上昇や景気の先行き不透明感により、消費者の経済的ストレスは強まっており、個人消費の先行きへの懸念が高まっている。AP通信がシカゴ大学全米世論調査センター(NORC)と共同で発表した世論調査結果外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(注)によると、米国の成人のうち86%が食料品価格の上昇にストレスを感じていると答えており、そのうち約半数が「主要なストレス源」と回答した。食品価格の上昇が「ストレスの原因ではない」と答えたのはわずか14%にとどまり、多くの米国人が生活必需品のコストについて依然として広範な不安を感じていることが浮き彫りになった。食料品価格に次いで、「大きなストレス要因」として挙げられたのは、住宅費(47%)、貯蓄額(43%)、給与(43%)、医療費(42%)で、いずれも一定以上のストレスを感じているとの回答が4割以上に上った。

2025年6月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比2.7%上昇となり、関税引き上げに伴う影響が顕在化し始めている。中でも、食品価格(3.0%上昇)、住居費(3.8%上昇)や医療サービス(3.4%上昇)などは高い伸びとなった(2025年7月16日記事参照)。これに対して、1人当たり実質可処分所得は2カ月連続でマイナスとなった(2025年8月1日記事参照)。

米国の小売り最大手ウォルマートは5月、トランプ関税の影響によるコスト上昇を全て吸収するのは難しいと判断し、5月下旬から値上げに踏み切る方針を表明した。ビジネス専門メディアCNBCが2025年5月から7月までウォルマートの一部製品の価格変動率を追跡した独自の調査(注2)では、食品や家庭用品などでの価格上昇が確認されており、一部製品では1割から最大5割の上昇率が見られた。これらの値上げが関税による上昇率がどの程度に相当するか不明であるものの、関税引き上げの影響が顕在化し始めている様子がうかがえる。

米フィンテック企業のシグネファイドが実施した調査(注3)によると、関税を受けた小売企業の対応策として、76%の回答者が「販売価格の引き上げ」を実施すると回答しており、このうち関税コストの51%を消費者に転嫁すると答えた。今後もさらに物価上昇の圧力が続く可能性が高まっており、消費者の購買力の持続性に注目が集まる。

(注1)実施期間は7月10~14日、対象者は米国の消費者1,437人。

(注2)ニュージャージー州セカウスのウォルマートで、衣料品、電子機器、玩具、日用品など約50品の価格を7週間かけて追跡。

(注3)実施期間は5月27日~6月2日、対象者は米国小売業者のEC事業を展開する500社の経営者。

(樫葉さくら)

(米国)

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