6月の米個人消費支出、物価は引き続き上昇、実質可処分所得の伸び低下が消費を抑制

(米国)

ニューヨーク発

2025年08月01日

米国商務省は7月31日、6月の個人消費支出(PCE)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公表した。関税の影響によって物価は引き続き上昇し、雇用者報酬も低下した結果、実質可処分所得は伸び悩み、消費を下押ししている。

所得関連では、個人所得が名目ベースで前月比0.3%増(前月0.4%減)で、市場予測(0.2%増)をわずかに上回った。ただし、雇用者報酬(前月比0.2%増、寄与度0.1ポイント)は前月(同0.4%増)から引き続き低下しており、このところの労働市場の軟化傾向を反映している可能性がある。その他では、利息配当が前月比0.2%増、所得移転が同1.0%増だった。名目可処分所得(前月比0.3%増)は増加したものの、物価も上昇しているため、実質可処分所得は横ばい(0.0%減)となり、1人当たり実質可処分所得は0.1%減だった(添付資料表1参照)。

個人消費支出も、名目ベースでは前月比0.3%増となったものの、実質ベースでは0.1%増の微増にとどまり、基調としては強くない。実質ベースの内訳では、財(0.1%増、寄与度0.03ポイント)はガソリン(前月比1.9%増、寄与度0.04ポイント)が押し上げに寄与したものの、自動車などの耐久消費財は3カ月連続でマイナス、サービス(0.1%増、寄与度0.03ポイント)も、レクリエーションサービスをはじめ、ほぼ全てのカテゴリーで伸びが低調、ないしマイナスとなっている(添付資料表2参照)。

物価関連については、PCEデフレーターは前年同月比2.6%増(前月2.4%増)、前月比0.3%増(前月0.2%増)だった(添付資料表3参照)。変動が大きいエネルギーと食料品を除いたコア指数は前年同月比2.8%増(前月2.8%増)、前月比は0.3%増(前月0.2%増)、米国連邦準備制度理事会(FRB)が参照するコア指数の3カ月前比、6カ月前比はそれぞれ、2.6%増(前月2.0%増)、3.2%増(前月3.1%増)だった。コア指数の市場予想は前月比0.3%増、前年同月比2.7%増だった。

(加藤翔一)

(米国)

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