遼寧省の上半期のGRP成長率は前年同期比4.7%、中国全体を下回る

(中国)

大連発

2025年07月31日

中国の遼寧省統計局は、2025年上半期(1~6月)の主要経済指標を7月19日に発表した。遼寧省の域内総生産(GRP)は1兆5,707億9,000万元(約32兆2,012億円、1元=約20.5円)で、実質GRP成長率は前年同期比4.7%となった(添付資料表参照)。成長率では中国全体平均(5.3%、2025年7月25日記事参照)を0.6ポイント下回った。

2025年上半期の主要経済指標をみると、一定規模以上の工業企業(注1)による工業生産増加額(付加価値ベース)は前年同期比3.3%増だった。産業別にみると、「採掘業」「電力・熱エネルギー・ガスおよび水の生産・供給業」「製造業」がそれぞれ12.9%増、2.4%増、1.8%増のプラス成長だった。製造業のうち、自動車製造業が3.5%減となった一方、鉄道・船舶・航空宇宙・その他輸送機器製造業(37.8%増)や、医薬製造業(20.8%増)などはそれぞれ2桁増となったほか、化学繊維製造業(11.7倍)の伸びが目立った。また、製品別に生産量をみると、鉄鉱石原鉱(4.1%減)、銑鉄(2.3%減)、粗鋼(1.9%減)などが減少した一方、変圧器(73.3%増)、民間鋼船(14.4%増)などが増加した。自動車の生産台数は15.7%減の37万6,000台だった。

固定資産投資は前年同期比3.3%減と伸びがマイナスになった。そのうち、不動産開発投資は前年から引き続き減少(前年同期比25.7%減、2024年通年は前年比20.0%減)した。他方、製造業の投資は15.9%増となっている。

社会消費品小売総額(消費)は前年同期比6.3%増となった。一定規模以上の企業(注2)の小売りのうち、家電・AV機器類(79.3%増)、家具類(62.1%増)、通信機器類(45.1%増)の伸びが目立ち、遼寧省統計局は、消費促進措置(詳細は「中国の設備更新と消費財買い替え推進政策の最新動向」特集参照)の効果が顕著だったと指摘している。遼寧省政府によると、同省の財政から拠出した消費補助金の2025年上半期の配賦額は約3億元近くに上り、それによってもたらされた買い替えの売上高は計440億元以上となった。また、同期の新エネルギー車販売額は22.7%増となった。

貿易総額は前年同期比0.1%減の3,702億元で、全国平均(2.9%増)の伸びを3ポイント下回った。輸出は13.4%増の2桁増を保ち、なかでも輸出総額(約1,993億元)の過半を占める電気機械製品(約1,003億元)は9.0%増となった。輸入額(約1,710億元)では、約3割を占める原油が5.1%減となったほか、精製油(68.4%減)が大幅減となった。

(注1)その年の主な業務による売上高が2,000万元以上の工業企業。

(注2)その年の主な業務による売上高が2,000万元以上の卸売企業、その年の主な業務による売上高が500万元以上の小売企業、その年の主な業務による売上高が200万元以上の飲食および宿泊企業。

(李穎)

(中国)

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