日米両政府、5回目の関税協議を実施、経済安全保障面での協力などについて議論
(米国、日本)
ニューヨーク発
2025年06月10日
日米両政府は6月6日、米国の関税措置に関する協議を行った。日本側からはこれまでと同様、赤澤亮正経済再生相が参加した。赤澤再生相は、スコット・ベッセント財務長官、ハワード・ラトニック商務長官とそれぞれ個別に協議した。日米両国は5月30日にも協議を行っており、今回で5回目になる(2025年6月2日記事参照)。
赤澤再生相とベッセント財務長官との会談は約45分、ラトニック商務長官とは約115分間に及んだ。赤澤再生相は今回も、米国による一連の関税措置の見直しをあらためて強く申し入れた。その上で、貿易の拡大、非関税措置、経済安全保障面での協力などについて議論した。報道によれば、日本側はレアアースのサプライチェーン強化などを提案したもようだ。米国が追加関税措置を発動後、中国はレアアースなどに対する輸出管理を強化している(注)。5月にスイス・ジュネーブで行われた米中間の協議では、追加関税率の引き下げのほか、中国の輸出管理緩和などで合意したが、米国は中国が合意を履行していないとして問題視していた(2025年6月9日記事参照)。米国の対中サプライチェーンの観点から、関税の応酬に加え、中国による輸出管理強化の影響が以前から懸念されていた(2025年3月19日付地域・分析レポート参照)。なお、日米両国は2023年3月に、重要鉱物に対する課税を相互に控えることや、採掘や処理における労働者の権利に関する情報を共有して適正に法を執行することなどを盛り込んだ、日米重要鉱物サプライチェーン強化協定を締結している(2023年3月29日記事参照)。
また、日米両政府は、6月15~17日にカナダで行われるG7サミットでの日米首脳会談を視野に、双方にとって利益となる合意を実現できるよう、調整を続けることを確認した。
(注)中国側の輸出管理については、2025年2月4日記事、2025年4月7日記事、2025年5月12日記事、2025年6月9日記事を参照。
(赤平大寿)
(米国、日本)
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