米大手アニマルヘルスのメルク、カンザス州で8億9,500万ドル投資
(米国)
シカゴ発
2025年05月14日
米国の大手動物用医薬品製造のメルク・アニマル・ヘルス(本社:ニュージャージー州)は5月8日、カンザス州デソト市の既存の製造施設に8億9,500万ドルを投資すると発表した。今回の20万平方フィート(約1万8,600平方メートル)の拡張は、同社が所有する敷地内で行われ、それぞれ製造施設に8億6,000万ドルの投資、研究開発施設へは3,500万ドルの投資を行う予定だ。製品の量産開始は2030年を予定しており、200人以上の正社員の雇用を創出する見込みだ。同州の発表によると、今回の投資は州史上2番目の大規模な民間投資となる(注)。
メルクは今回の施設拡張によって、大型分子ワクチン、生物製剤製品の充填(じゅうてん)と凍結乾燥能力を拡大し、同社の米国および国際的な動物用医薬品製造ネットワークを強化するとしている。
同施設では現在、主に豚・馬・牛、犬用の製品が製造されている。既存の施設は約30万平方フィート(約2万8,000平方メートル)で、そのうち9万8,000平方フィート(約9,100平方メートル)が製造に充てられている(KSHB5月8日)。
カンザス州のデビッド・トーランド副知事兼商務長官は「メルクのデソト市での大規模な施設拡張は、州のアニマルヘルス分野のグローバルリーダーとしての確固たる地位をさらに高めるだろう」と述べた。同州マンハッタン市とミズーリ州コロンビア市を結ぶ地域は、現在300社を超えるアニマルヘルス関連企業が集まる世界最大の集積地となっており、「カンザスシティー・アニマル・ヘルス・コリドー」と呼ばれている。同地域に拠点を有する企業全体の売上高は、世界のアニマルヘルス、検査、ペットフード市場の売上高の56%を占めている。
(注)カンザス州史上最大の民間の経済開発プロジェクトは2022年7月に発表されたパナソニックエナジーの電気自動車(EV)バッテリー製造工場の建設で、投資総額は40億ドルになると見込まれる。
(星野香織)
(米国)
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