2024年のアフリカ貿易は増加し輸出シェア上位に中東アフリカ諸国、米関税次第だが2025年も増加の予測

(アフリカ、中東、米国)

調査部中東アフリカ課

2025年04月24日

WTOが4月16日に公表した貿易に関する報告書「世界貿易見通し外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」によると、2024年のアフリカの輸出量は前年比1.3%増、輸入量は同1.8%増だった。

同報告書では、2025年の世界の商品貿易量(輸出入平均)は、4月14日時点の米国の相互関税の一時停止(中国は除外、全世界の追加関税10%措置は継続)の状況において、2.9ポイント下方修正で前年比0.2%減少すると予測する。一方で、アフリカにおいては、4月14日時点の関税率では、2025年の輸出量は0.1ポイント上方修正で0.6%増、輸入量は0.3ポイント上方修正の6.5%増を見込む。また、中東の2024年の輸出量は前年比3.7%増、輸入量は15.0%増となり、2025年の貿易量も増加の見通しだ(2025年4月23日記事参照)。

中東アフリカ地域では、世界と比べて米国の関税による貿易への影響は少ないとの予測だが、米国が現在一時停止中の相互関税の実施、および各国の貿易政策の不確実性などにより、リスクは依然として存在している。

なお、国連貿易開発会議(UNCTAD)によると、米国が国・地域別に上乗せした相互関税が再開した場合、アフリカ諸国を含む後発開発途上国に壊滅的な打撃を与える見込みだ(2025年4月17日記事参照)。特にアフリカ諸国は米国が高い相互関税を発表していた国もある。

世界輸出額シェア30位以内に中東アフリカ諸国も

WTOの報告によると、2024年の輸出額と世界シェアで30位以内の中東アフリカ諸国は次のとおり。

  • 参考1位:中国、輸出額3兆5,770億ドル(世界シェア17.8%)
  • 参考2位:EU、2兆7,960億ドル(13.9%)
  • 参考3位:米国、2兆650億ドル(10.3%)
  • 参考4位:日本、7,070億ドル(3.5%)
  • 8位:アラブ首長国連邦(UAE)、6,030億ドル(3.0%)
  • 20位:サウジアラビア、3,050億ドル(1.5%)
  • 23位:トルコ、2,620億ドル(1.3%)
  • 25位:南アフリカ共和国、1,100億ドル(0.5%)
  • 26位:イラン、1,060億ドル(0.5%)
  • 27位:イラク、1,020億ドル(0.5%)
  • 29位:カタール、940億ドル(0.5%)

※UAE、イラン、イラクはWTOの推計、EU諸国の域内貿易額を除く順位。

なお、2025年のGDP成長率は、世界では米国の追加関税措置などの影響もあり0.6ポイント下方修正の2.2%、アフリカは変動が0.1ポイント未満で4.0%の成長、中東も変動が0.1ポイント未満で3.2%の成長を見込むという。

(井澤壌士)

(アフリカ、中東、米国)

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