トランプ米大統領、中国の少額貨物に対する関税率も引き上げ

(米国、中国)

ニューヨーク発

2025年04月10日

米国のドナルド・トランプ大統領は4月8日、中国の少額貨物に対する関税率を引き上げる大統領令を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同大統領令では、中国に対する相互関税率を、当初の34%から84%へ引き上げることも定めている(2025年4月9日記事参照)。

トランプ氏は4月2日に、輸入申告額が800ドル以下の少額貨物の輸入に対して、関税支払いなどが免除される非課税基準額(デミニミス)ルールの適用を停止し、国際郵便ネットワークを通じて中国または香港から出荷されたこれら貨物に、米国東部時間5月2日午前0時1分以降、関税を課す大統領令を発表していた。関税率は、従価税は輸入申告価格の30%で、従量税は郵便物1件につき25ドル、6月1日以降は50ドルに設定されていた(2025年4月4日記事参照)。だが、今回の大統領令によって、従価税は90%に、従量税は75ドルに、6月1日以降は150ドルに引き上げられた。なお、関税賦課が開始される日時などについては、以前の大統領令から変更はない。

大統領令では、今回の措置は、中国が米国原産品の輸入に34%の追加関税を課す報復措置への対抗措置(2025年4月7日記事参照)で、米国の国家安全保障および経済に対する脅威に効果的に対処するために必要かつ適切だと主張している。相互関税の発動を定めた大統領令では、「貿易相手国が報復措置を取った場合、大統領は関税率を引き上げられる。反対に、貿易相手国が非相互的な貿易関係の是正に向けた重要な措置を講じ、経済と国家安全保障の問題で米国と足並みをそろえた場合は、関税を引き下げる」と規定されている。また、大統領経済諮問委員会(CEA)のスティーブン・ミラン委員長は4月7日に、首都ワシントンのシンクタンクが主催したイベントで、米国の追加関税に対する報復措置は状況を悪化させるだけ、と述べていた(2025年4月9日記事参照)。

(赤平大寿)

(米国、中国)

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