在香港米国商工会議所、世界貿易での香港の役割認める柔軟な方法が不可欠
(香港、中国、米国)
香港発
2025年04月18日
米国のドナルド・トランプ大統領が4月9日に署名した大統領令により、翌10日以降に通関した中国製品に対する相互関税率125%は香港も適用される(2025年4月11日記事参照)。また、米国政府は中国本土と香港からの800ドル以下の少額貨物に対する関税を免除する非課税基準額(デミニミス)ルールの適用を停止し、米国東部時間5月2日午前0時1分以降に通関され、中国または香港で生産された800ドル以下の製品に対して関税を課すと発表していた(2025年4月4日記事参照)。これを受け、香港郵便は4月9日、米国向け郵便サービスを後日一時停止すると発表した(2025年4月14日記事参照、注1)。
このような米国と香港の一連の動きもあり、在香港米国商工会議所(AmCham HK、注2)は4月14日、次の声明を発表した。
AmCham HKは香港の現在の苦境を残念に感じている。2024年の米国の対香港貿易黒字は219億ドルとなり、相互の強固な経済関係が強調された。2024年の米国の対香港商品貿易総額は338億ドルと推察される。在香港米国企業の地域統括本部、地域拠点、現地拠点数は2024年に1,390社に増加(2023年は1,273社)した〔在香港米国企業数は日本の1,430社に次ぐ数となっている(2025年1月6日記事参照)〕。
香港は関税および貿易に関する一般協定(GATT)により独立した関税地域だ。香港は中国本土とは異なる規制と法的な貿易枠組みの下で運営され、貿易相手国が貿易政策を決定する場合には、香港を個別に考慮する必要がある。また、香港は独立したWTO加盟国(地域)で、香港の経済的・貿易的地位は他のWTO加盟国と同等だ。加えて、香港は米国やその他の貿易相手国に対して自由貿易港としての地位を維持し、輸入品に関税を課さず関税率割当(注3)もない。
香港の独自の地位と世界貿易での重要な役割を認める柔軟な方法がこの地域の協力と経済成長を促すには不可欠だ。多くの会員が混乱の影響を受ける中で、AmCham HKは、現在の状況の早期解決を願っている。
(注1)香港郵便は4月16日、小包郵便物引き受けの一時的停止を正式に発表し、普通郵便は即日、航空郵便は同月27日にそれぞれ引き受けを停止する(2025年4月17日記事参照)。
(注2)約2,000人の会員を擁する民間の超党派非営利貿易組織。55年以上にわたって米国、香港、中国本土間の通商を促進し、国際金融センターとしての香港の地位を維持してきた。
(注3)特定の数量の物品を低い関税率で輸入することが可能な一方、その数量を超える輸入品に対して高い関税が適用される貿易政策。
(松浦広子)
(香港、中国、米国)
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