香港政府、米国の相互関税措置に対する7つの取り組みを公表
(香港、中国、米国)
香港発
2025年04月14日
香港政府の李家超(ジョン・リー)行政長官は4月8日、メディアセッションにおいて、米国の相互関税発動に対し、強化を予定する7分野の取り組みを発表した。
- 香港と中国の発展の機会を捉え、中国の発展に積極的に統合する。香港は「中国本土と香港経済貿易連携緊密化の取り決め(CEPA)」を最大限に活用し、「一国二制度」のメリットを生かすためより多くの外資系企業を誘致する。
- 国際交流と地域協力を強化する。より多くの国・地域と自由貿易協定(FTA)の締結を行い、地域的な包括的経済連携(RCEP)への香港の早期加盟を引き続き推進する。
- 高付加価値でイノベーション主導の経済モデルを発展させ、産業転換を加速する。
- 科学技術イノベーションの発展を強化し、高度人材を誘致する。香港を科学技術イノベーションのハブとして確立し、河套(ヘタオ)深港科学技術イノベーション協力区(注1)と新田(サンティン)テクノポール(注2)の開発を加速し、戦略的企業の誘致に注力する。
- 国際金融協力を推進し、投資と資本を誘致する。
- 「一国二制度」の下、香港に進出する外国企業と資本を積極的に誘致する。
- 香港企業が関税や対外的な問題に対応できるよう、資本フローの支援、輸出信用保険の措置、香港政府補助金の1つで中小企業の海外輸出支援をするBUD基金(注3)を通じた支援を継続する。
また、香港金融管理局は4月8日、銀行部門とともに各産業の中小企業支援を進めると発表した。銀行セクター中小企業融資調整メカニズムと中小企業融資タスクフォース会合を開催し、決定された。今後、銀行部門は企業の流動性ニーズの支援のため、柔軟な返済条件や返済期間の延長を含む信用救済措置を柔軟に提供していく予定だ。
なお、中国本土と香港からの800ドル以下の少額貨物に対する関税を免除する非課税基準額(デミニミス)ルールの適用撤回に対し(2025年4月4日記事参照)、香港郵便は4月9日、当面の間は米国向け郵便サービスを維持するものの、後日、米国向け郵便サービスの一時停止措置を発表するとした。具体的な日時については言及されていない。
(注1)2017年1月、香港政府は深セン市政府と「落馬洲・河套地域の共同発展を促進する協力備忘録」に署名し、香港北部と深セン市福田区南部の越境地域に位置する河套において深セン・香港科技創新協力区を建設することを明確にした。同協力区は、香港園区(約0.87平方キロ)と深セン園区(約3.02平方キロ)の2つの園区で構成される。
(注2)北部都会区の中心に位置し、深セン市の皇崗と福田区のイノベーションとテクノロジー区域に近接する。
(注3)補助金の詳細な内容については、「2025年3月25日付地域・分析レポート「企業向け政府補助金制度の活用のすすめ(香港)」を参照)。
(松浦広子)
(香港、中国、米国)
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