イスラエル首相、ハマスの壊滅、人質の全員解放まで攻撃継続を明言
(イスラエル、米国、イタリア、イラン、オマーン、パレスチナ)
テルアビブ発
2025年04月21日
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は4月19日にテレビ演説を行った。イスラエル首相府によると、ハマスは生存している人質の半数の解放につながる提案を拒否したという。同首相は「ハマスは戦闘の終結、イスラエル軍の(パレスチナ自治区)ガザからの完全撤退、ガザ復興のための大規模な資本流入を要求しているが、このような『降伏』条件で戦闘を終結させれば、イスラエル人を人質にとることでイスラエル国家を屈服させることができ、『テロは報われる』という致命的なメッセージを送ることになる」と指摘した。
同首相は「7つの戦線での戦闘には非常に大きな犠牲が伴うが、イスラエルの存続のために勝利するまで戦い続ける以外に選択肢はない」とし、「イスラエル国防軍に対し、ハマスへの圧力をさらに強めるよう指示した」と述べた。また「ハマスの軍事力と統治能力を破壊しなければ、次の「10月7日」(2023年のハマスによるイスラエル攻撃)や次の拉致は時間の問題だ」と警告し、「ガザ地区のハマスを壊滅させ、全ての人質を帰還させ、ガザ地区が二度とイスラエルの脅威とならないようにするまでは、戦闘を終結させるつもりはない」と明言した。
ハマス幹部のハリル・ハイヤ氏は4月17日にテレグラムにビデオ声明を投稿した。ロイター(4月17日)によると、ハマスはガザでの戦闘を終結させ、イスラエル人の人質全員とイスラエルに収監されているパレスチナ人を交換する包括的な取引を望んでいるとして、イラスエルからの暫定的な停戦の提案を拒否したという。
米国とイランの核問題についての間接協議は4月12日、オマーンの首都マスカットで(2025年4月14日記事参照)、2回目の協議が19日にイタリアの首都ローマで開催された。ネタニヤフ首相は「私はイランの核保有阻止に全力を尽くしており、この点で譲歩するつもりはない」と述べ、「イランの核開発計画を阻止し、遅らせるために長年にわたって数々の行動を主導してきたが、こうした行動がなければイランは10年前に核兵器を保有していただろう」と指摘した。「ニューヨーク・タイムズ」紙電子版(4月17日)によると、イスラエルは、イランの核兵器開発能力を1年以上遅らせることを目的に、5月の核施設への攻撃計画を策定した。しかし、米国のドナルド・トランプ大統領は4月7日にネタニヤフ首相と会談した(2025年4月9日記事参照)際に、米国はイスラエルによる攻撃を支持しないという決定を伝えたという。
イスラエルとハマスの衝突の詳細についてはジェトロの特集を参照。
(中溝丘、アリエル・マロム)
(イスラエル、米国、イタリア、イラン、オマーン、パレスチナ)
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