米国の1月の貿易赤字が過去最高、追加関税適用前に財輸入が拡大
(米国)
ニューヨーク発
2025年03月07日
米国商務省経済分析局(BEA)の3月6日の発表によると、2025年1月の財・サービス貿易赤字は1,314億ドルで、2024年12月(981億ドル)から333億ドル増加した。米国メディアによれば、月別の赤字額としては過去最高となったもよう。追加関税の導入を前に、駆け込み輸入が拡大した。
1月の財・サービス輸出は前月から33億ドル増加し2,698億ドルだった一方、財・サービス輸入が前月から366億ドル増加し4,012億ドルとなったため、貿易赤字額が拡大した。特に財貿易の赤字が、335億ドル増の1,568億ドルと拡大した。BEAの発表によれば、今回の貿易赤字の拡大は、財貿易の赤字拡大に起因しているという。
ドナルド・トランプ大統領は関税率の引き上げを公約の1つとしており、就任以降、カナダとメキシコ産の全製品に25%(2025年3月4日記事参照、注)、中国産の全製品に20%の追加関税を課したほか(2025年3月4日記事参照)、鉄鋼・アルミニウム製品への追加関税の適用除外制度の廃止や、アルミ製品の追加関税率引き上げを3月12日から行う大統領布告を発表した(2025年2月12日記事参照)。さらに、貿易相手国に対する「相互関税」の導入に向けた大統領覚書(2025年2月14日記事参照)、1962年通商拡大法232条に基づき、銅と木材の輸入が米国の安全保障に与える影響を調査する大統領令も発表している(2025年2月26日記事、2025年3月3日記事参照)。また、半導体、医薬品などに対する新たな関税を近い将来に(2025年1月29日記事参照)、自動車に対しては4月2日以降に賦課するとも述べている。
企業がこうした追加関税による影響を避けるため、発動前に輸入を急いだとみられる。ジェトロが在米国の日系企業に行ったヒアリングでも、複数の企業が今できる対策として、「追加関税がかかる前に輸入を拡大した」「他企業も同様の対応をしているのではないか」と述べた。
(注)ただし、一部品目の追加関税率は10%に定められている。また、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の原産地規則を満たしている産品に対しては追加関税を適用しないと発表している(2025年3月7日記事参照)。
(赤平大寿)
(米国)
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