バイデン米政権、韓国化学素材大手SKCの関連企業に7,500万ドルの助成発表、CHIPSプラス法で9社目

(米国、韓国)

アトランタ発

2024年05月27日

米国商務省は5月23日、韓国の化学素材大手SKC関連会社のアブソリックスに対して、CHIPSおよび科学法(CHIPSプラス法)に基づいて最大7,500万ドルを助成することで、同社と予備的覚書(PMT)を締結したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

2022年8月に成立したCHIPSプラス法は、米国内半導体産業の振興を目的に、半導体製造施設の建設や拡張などを行う企業に対して、390億ドルの助成と25%の投資税額控除を行うほか、研究開発を行う企業に110億ドルの助成などを規定している。CHIPSプラス法に基づく助成金拠出の発表は今回で9社目(注)。アブソリックスのジョージア州アトランタ近郊コビントンにおける、半導体先端パッケージングに使用される基板に関する技術開発を行う12万平方フィート(約1万1,150平方メートル)の施設建設プロジェクトを助成対象としている。半導体関連の新素材製造のために、CHIPSプラス法に基づく助成金が拠出されるのは今回が初めてだ。

ジョージア工科大学とSKCが共同で開発した半導体用ガラス基板を生産するため、SKCは2021年10月、同州コビントンに4億7,300万ドルを投じて製造施設を建設すると発表し、その後、SKC子会社としてアブソリックスを設立した。さらに、2022年11月には、同施設を着工するとともに、投資額を6億ドルに引き上げた。幅と長さが40センチメートルの同社のガラス基板の厚さは、従来品の4分の1の約0.8ミリメートルで、同社によると同製品を使えば、パッケージの厚さが半分になり、消費電力も半分になる(「韓国中央日報」紙電子版2023年1月17日)。

商務省のジーナ・レモンド長官はプレスリリースで、「ジョー・バイデン大統領のCHIPSプログラムの成功の重要な一端は、米国が半導体サプライチェーンのあらゆる部分で世界のリーダーであることを保証することで、アブソリックスが取り組んでいる先進的な半導体パッケージ技術はその目標達成に役立つと同時に、ジョージア州で数百の雇用を創出することになる」と述べた。また、アブソリックスのオ・ジュンロク(Oh Jun-rok)最高経営責任者(CEO)は「コビントンに建設する新施設は、高品質のガラス基板を生産する能力を高めるだけでなく、ジョージア工科大学との提携を通じて高度な技術を要する雇用を創出し、技術革新を促進する」と述べた。

(注)1社目はBAEシステムズ(2023年12月13日記事参照)、2社目はマイクロチップ・テクノロジー(2024年1月5日記事参照)、3社目はグローバルファウンドリーズ(2024年2月21日記事参照)、4社目はインテル(2024年3月22日記事参照)、5社目は台湾積体電路製造(TSMC、2024年4月9日記事参照)、6社目はサムスン電子(2024年4月16日記事参照)、7社目はマイクロン(2024年4月26日記事参照)、8社目はポーラーセミコンダクター(2024年5月14日記事参照)。

(檀野浩規)

(米国、韓国)

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