バイデン米政権、インテルに最大85億ドルの助成発表、CHIPSプラス法で4社目

(米国)

ニューヨーク発

2024年03月22日

米国のバイデン政権は3月20日、インテルの半導体製造施設新設などのため、CHIPSおよび科学法(CHIPSプラス法)に基づいて、最大85億ドルの助成などで商務省とインテルが予備的覚書(PMT)を締結することで合意したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。助成対象となるのは、次の4つの投資プロジェクトだ。

  1. アリゾナ州チャンドラーでの先端ロジック半導体製造施設2カ所の新設と既存施設1カ所の現代化を通じて、3,000人の半導体製造関連雇用、6,000人の施設建設関連雇用を創出する。
  2. ニューメキシコ州リオランチョでの既存施設2カ所の先端パッケージング施設への現代化を通じて、700人の半導体製造関連雇用、1,000人の建設関連雇用を創出する。
  3. オハイオ州ニューオルバニーでの先端ロジック半導体製造施設2カ所の新設などを軸とする半導体製造エコシステムの構築を通じて、3,000人の半導体製造関連雇用、7,000人の施設建設関連雇用を創出する。
  4. オレゴン州ヒルズボロでの極端紫外線(EUV)露光装置を用いる技術開発施設の拡張と現代化を通じて、数千人の半導体製造関連、施設建設関連雇用を創出する。

インテルはこれらに向こう5年間で1,000億ドル以上を投資し、半導体製造関連雇用を1万人、施設建設関連雇用を2万人創出することを見込む。商務省は上記プロジェクトに最大85億ドルを助成するほか、最大110億ドルの融資を行う。また、商務省はインテルが25%の投資税額控除(2023年6月15日記事参照)を申請する見込みとしている。

ジョー・バイデン大統領は同日、インテルのアリゾナ州チャンドラーの施設を訪問し、演説外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを行った。バイデン大統領は、米国が先端半導体の製造を国外に依存していると指摘した上で、「だからこそ、この投資は大きな意味を持つのだ。われわれは、先端半導体の製造を40年ぶりに米国で復活することを可能にする」と述べ、今回の助成の意義を強調した。

PMTに署名後、商務省は提案されたプロジェクトや申請書に含まれる情報について、包括的なデューディリジェンス(DD)を開始する。同省は、DDが完了した後に、インテルと最終的な助成条件が記された書類を交わすことができる。なお、申請者との交渉により、PMTに記された条件と最終的な助成条件は変わることがある。

CHIPSプラス法に基づくPMT締結の発表は今回で4回目となる。直近では、グローバルファウンドリーズのニューヨーク州の工場新設とバーモント州の工場現代化などに対する約15億ドルの助成(2024年2月21日記事参照)が発表されていた(注)。また、商務省は2024年中にさらなるPMT締結の発表が予定されているとしている。

(注)CHIPSプラス法に基づく資金援助機会通知(NOFO)は、これまでに先端半導体製造施設の新設や拡張などに対する資金援助(第1弾)、製造装置・素材関連施設に対する資金援助(第2弾)、研究開発に対する資金援助(第3弾)が発表されている(2024年3月1日記事参照)。商務省は第1弾に対して620件以上の関心表明書、170件以上の申請書を受理したほか、第2弾に対して160件以上の小規模サプライヤーからの構想企画書を受理したとしている。

(葛西泰介)

(米国)

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