米インド貿易政策フォーラム開催、重要鉱物やハイテク製品貿易で協力強化に合意

(米国、インド)

ニューヨーク発

2024年01月18日

米国通商代表部(USTR)のキャサリン・タイ代表は1月12日、インド・ニューデリーで同国のピユシュ・ゴヤル商工相と第14回米国インド貿易政策フォーラム(TPF)の閣僚会合を開催した。両国は終了後に共同声明を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、2国間の貿易上の懸念解決の進展を強調した。

共同声明によると、タイ代表とゴヤル商工相は2023年1月に行われた第13回TPF以降にみられた2国間の貿易関係の進展を振り返った。とりわけ、インドのナレンドラ・モディ首相の訪米(2023年6月23日記事参照)と、米国のジョー・バイデン大統領のインド訪問(2023年9月12日記事参照)を経て、両国がWTOで係争中だった7件の紛争案件を全て解決したことを強調した。両氏はまた、重要鉱物や税関・貿易円滑化、サプライチェーン、ハイテク製品の貿易を含む分野で協力を強化するための「野心的で前向きなロードマップ」を策定することに合意した。これらの取り組みを進め、将来的に共同イニシアチブを開始する基盤を確立することを目指す。

共同声明では、TPFのワーキンググループによる個別分野の進展も記した。非農産物に関しては、国際試験所認定協力機構(ILAC)と国際認定フォーラム(IAF)による相互承認協定(MRA)を活用し、認定された適合性評価機関の結果を可能な限り2国間で相互承認するための道筋を確立することに合意した。タイ代表は、インドが2023年11月に適用を開始したIT機器の輸入規制(2023年10月26日記事参照)の問題を提起したのに対し、ゴヤル商工相は国家安全保障上の懸念など規制導入の目的を説明した。タイ代表はIT分野のサプライチェーンの強靭(きょうじん)化という共通の目的に関し、インドと協力する意思を示した。

共同声明によると、ゴヤル商工相は米国の一般特恵関税制度(GSP)対象国へのインド再指定にあらためて関心を表明した。GSPは開発途上国・地域に対して関税を減免する制度で、インドはトランプ前米政権時の2019年にGSPの対象国から除外された(2019年6月4日記事参照)。ただ、GSP自体は2020年12月末に失効しており、連邦議会では復活に向けた議論もみられる(2023年5月22日付地域・分析レポート参照)。タイ代表は「米国連邦議会によって決定される資格基準との関連で、正当な理由があれば(インドの再指定も)検討され得る」と指摘した。

そのほか、共同声明では知財や農産物、サービス分野、強靭性のある貿易に関する議論の成果をまとめている。両国は今後、ワーキンググループの四半期ごとの実施に加え、2024年半ばまでに高官級会合を、同年末までに閣僚級会合を開催する予定だ。

タイ代表は1月12日、インドのスブラマンヤム・ジャイシャンカール外相とも会談した。USTRの発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、両氏は2月にアラブ首長国連邦(UAE)のアブダビで開催予定のWTO第13回閣僚会議の成功に向けた協力などについて議論した。

(甲斐野裕之)

(米国、インド)

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