商工省、IT機器の輸入規制を緩和

(インド)

ニューデリー発

2023年10月26日

インド商工省外国貿易部(DGFT)は10月19日、IT機器の輸入に対して11月1日から適用開始となる規制の緩和を発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。規制対象のIT機器を輸入する際は、輸入者はDGFTのポータルサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます上で申請すれば、輸入登録書を取得できる。今回の通達の主な内容は次のとおり。

  • 輸入者は複数の輸入登録書を申請でき、申請後の数量変更も可能。輸入登録書の有効期限は2024年9月30日まで。
  • 対象品目の予備品、部品、組み立て品、半組み立て品、構成部品などは輸入規制の対象外。
  • 各種資本財〔例:MRI(磁気共鳴画像)装置、CNC(コンピュータ数値制御)装置、無人航空機(UAV)など〕に不随した必要不可欠なIT機器は輸入規制の対象外。
  • 特別経済区(SEZ)の企業が自社用にIT機器を輸入する場合は、規制対象外。

DGFTは当初、8月3日の通達で、各種IT機器の輸入に際し、許可制への切り替えを即日適用すると発表していた。対象品目として指定したのは、HSコードで3808項に分類されるノートPC、タブレット、オールインワンPC、超小型フォームファクターコンピュータ・サーバーなどだ。しかし、この突然の通達には国内外から反発が相次ぎ、DGFTは翌4日に適用開始日を11月1日に延期すると発表。その後も10月16日に開かれたWTO市場アクセス委員会の場などで各国から懸念の声が上がっていた(「インディアン・エクスプレス」紙10月17日)。インド政府は方針の見直しを余儀なくされ、今回の通達の発出前に、スニル・バースワル商務次官は「インドがノートPCの輸入規制を敷くことはない」、「(インド政府として)輸入をモニタリングしたいだけ」と説明していた(「ミント」紙10月17日)。

政府は現在、国内製造業の振興を図っている。政府が指定する14の重点分野にはIT機器も含まれ、2023年5~8月にも同分野の生産連動型奨励策(PLI、注)の2次募集があったばかりだ(2023年6月12日記事参照)。他方、特定品目に対する輸出入規制の導入や、インド標準規格(BIS)の強制認証対象品目の拡大(2023年9月27日記事参照)といった保護主義的な動きも近年顕在化している。

(注)所管省庁が指定する分野ごとの適格基準を満たすことを要件として、新規工場を設立した製造業企業に対し、売上高の増加額などに応じたインセンティブ(補助金)が支給されるスキーム。

(広木拓、サンディープ・シン)

(インド)

ビジネス短信 c0ad5aac725723e6