米印首脳会談、重要・新興技術分野含む協力促進を確認

(米国、インド)

ニューヨーク発

2023年06月23日

米国のジョー・バイデン大統領は6月22日、国賓として訪米したインドのナレンドラ・モディ首相をホワイトハウスに迎えて首脳会談を行った。

バイデン大統領は、米印関係を21世紀で最も重要な2国間関係の1つと強調した上で、両国は貧困の撲滅や医療保険の拡大、気候変動対策、ロシアのウクライナに対する戦争による食糧とエネルギー問題を含めてあらゆる分野で協力していると述べた。そして、次世代の協力分野の柱は重要・新興技術だとした。両国は既に、首脳間の合意に基づいて設立した「米印重要新興技術イニシアチブ(iCET)」(2023年2月7日記事参照)や、官民それぞれが半導体に焦点を当てた協力枠組みを立ち上げるなど、この分野での関係強化を進めている(2023年3月14日記事2023年2月7日記事参照)。モディ首相も、新型コロナ禍を経て世界の秩序が新たなかたちを帯びている中、両国の友好関係は世界の力を押し上げるとした。両国は世界の平和と安定、繁栄のために協力することにコミットしており、この強固な戦略的パートナーシップは民主主義の力の明確な証明だとその意義を強調した。会談後に公表した共同声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますおよびファクトシート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにおいても、「未来のための技術的パートナーシップ」が筆頭に掲げられている。iCETなどの枠組みを中心に、半導体、重要鉱物、通信、宇宙、量子技術、人工知能(AI)などの分野で協力を進める。例えば半導体分野では、米国のマイクロン、アプライドマテリアルズ、ラムリサーチが、インドでの工場や研究開発施設の開設、労働力開発の計画を発表している。また、防衛分野においても、ゼネラルエレクトリックとヒンドゥスタン・エアロノーティクスがインドで戦闘機エンジンを共同製造する覚書を締結するなど、連携を深める。人的交流の促進では、米国はベンガルールとアーメダバードに、インドはシアトルに新たな領事館を開設する。そのほか、米国務省は2024年に、インド国民も含めて非移民ビザであるH1BおよびLビザ保有者が、米国内でビザを更新できるパイロットプログラムを立ち上げる。

通商面では、米国通商代表部(USTR)が、インドとWTOで係争中の6つの紛争案件を終結させると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。また、米国が1962年通商拡大法232条に基づいて鉄・アルミニウム製品に課している追加関税を受けて、インドが米国農産物などへ課していた報復関税の撤廃でも合意した。モディ首相は記者会見で、「米国はインドにとって最大の貿易相手国だ。われわれは長期にわたる貿易問題を解決して新たな始まりをつくり出すことに決めた」と説明している。具体的な成果を伴った今回の首脳会談を機に、両国関係が今後どう深化していくか注目される。

(磯部真一)

(米国、インド)

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